「港区基本構想(第二次)―都心定住をめざして」の策定

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人々の価値観の多様化、家族形態の変化、人口の高齢化が予想以上に進行し、他方で東京への一極集中が進み、高度情報化・国際化が急速に社会の各方面に浸透する状況のなかで、区政運営には新たな対応が求められていた。特に、地価の高騰および業務立地化の進行は、土地の住宅利用を圧迫し、生活諸条件の悪化を招き、従来のまちを一変させるような大幅な定住人口の減少、地域社会の活力の低下をもたらせた。
このような状況の中で港区が希望をもって新たな世紀を迎えるためには、社会経済環境の変化を踏まえつつ、区民の住み続けたいという意思に応え、明確な施策の方向性を打ち出すこと、すなわち第二次基本構想を策定する必要があった。
第二次基本構想は、昭和六三年七月「港区基本構想審議会」(加藤秀俊会長)に諮問され、約一年間に及ぶ審議を経て、平成元年(一九八九)七月に答申がなされた。その後、平成二年三月区議会の議決を得て、「港区基本構想(第二次)」が策定された。なお、基本構想策定に当たっては、区職員が区民三一〇〇人に対して「港区基本構想をつくるに当たっての区民アンケート」を直接実施するなど、区民の意見の反映にも努めた。
第二次基本構想の理念は、昭和五〇年策定の港区基本構想を継承し、「人間性を尊重する」「地方自治の確立」とされた。そのうえで、二一世紀初頭を展望した港区が目指す将来像を「やわらかな生活都心―住みつづけられるまち・港区」とした。
「やわらかな生活都心」とは、昭和六二年策定の港区基本計画において示された港区が目指すべき方向性であり、都心機能が集積する東京の中心にあって、住民が生活する場であることを基本に、多様な生活文化や価値観に柔軟に対応し、ものの豊かさとこころの豊かさが調和し、古くからのものと新しいものとが共存することを表している。そして、これを実現するために、「住みつづけられるまち」「ともに健やかにくらせるまち」「いきいきとしたふれあいのあるまち」という三つの重点分野を設定した。また、これらを実現するために、三つの重点分野それぞれに対応した八つの基本政策と、基本政策に関連した三三の政策分野を示した。