定住人口確保に向けた様々な施策展開を受けつつ、二一世紀初頭までの住宅政策に関する長期的方向を示す「港区住宅基本計画」が、平成五年に策定された。
この計画は、基本構想および基本計画を踏まえ、住宅施策を総合的・計画的に進めるための指針とされ、計画期間は大都市法など国・都の制度との整合を図るため、平成一二年度までの八か年とされた。
計画は、①区民の住み続けたい意向に応え、生き生きとした魅力あふれる街をつくること、②生活の質と都市の質との向上に向け、良質な住宅のストックを増やすとともに、良好な住環境づくりを推進すること、③家族構成やライフスタイルに応じてゆとりを持って暮らせる住宅の確保を図るとともに、多様な人々が共に暮らせる地域社会を形成し、豊かに生活できる基盤づくりを推進すること、という三つの理念と、①住宅各層を対象とした多様な住宅の供給、②福祉と連携した住宅の整備、③定住化に向けた良質な住宅の確保など六つの基本的方向を示し、平成一二年度までの住宅建設戸数の目標を一万四五〇〇戸に設定した。
施策は、「人」「住宅」「地区」という三つの視点から展開するとともに、住宅市街地としての整備の方向を①住宅地維持ゾーン、②住宅・業務協調ゾーン、③住機能確保業務複合ゾーンなど八つのゾーンに設定し、区における住宅市街地の形成に関する将来像が示された。なお、区の厳しい財政状況を踏まえた改定が平成一〇年に行われたのち、同一四年三月に「第二次港区住宅基本計画(平成一四~二三年度)」、同二一年三月に「第三次港区住宅基本計画(平成二一~三〇年度)」、平成三一年三月に「第四次港区住宅基本計画(平成三一~令和一〇年度)」を策定し、誰もが安心して住み続けられる住環境の実現を目指している。