前計画の策定以降、先行き不透明な経済状況と長引く不況のため、大幅な歳入不足が見込まれる事態となった。そのため、行財政改革を進め、事務事業の見直しによる財政健全化に努めたものの、一部の計画事業を休止せざるを得ない状況となった。さらに目前に迫った都区制度改革、地方分権の推進、介護保険制度導入への具体的対応など、区政の新たな課題に対応する必要が生じていた。そこで平成一一年、二一世紀の港区にとって新たな指針となるような港区基本計画(平成一一〜一八年度)が策定された。
基本計画の改定に当たっては、少子・高齢社会や都区制度改革など状況の変化に的確に対応すること、区政の置かれた厳しい状況に適切に対応するため行財政執行体制の簡素化・効率化に引き続き取り組むこと、区の財政状況に応じた施策を展開していくことという課題に対応するため、次の三つの方向性から見直しが行われた。
①少子・高齢社会に対応した施策を推進する……急速な少子高齢化の進行に的確に対応する施策を展開する。
②地域社会の自主性・自立性の向上を目指し、区民との協慟により施策を推進する……区民が地域社会へ参画し自主的に行う活動を支援するとともに、行政サービスの提供について積極的に区民との協働により事業を展開していく。
③施設整備を中心とした事業から、きめ細かなサービスの提供を中心としたソフト重視の事業に移行する……区の人口構造や区民の生活様式の変化に対応し、施設を提供する事業から、きめ細かなサービスの提供を中心とする事業に移行する。また施設整備の考え方や機能について見直し、必要性の薄れた施設の転用・統合・廃止などを含め適正配置の観点から見直す。 (名取良太)