【「みんなといきいき区政推進計画(平成八~一〇年度)」の策定】 長引く景気低迷等のため区税収入が大きく落ち込む中、事業の見直しを進め、活力ある簡素で効率的な区政運営を目指して策定されたのが、「みんなといきいき区政推進計画(港区版行政改革大綱)」である。この計画では、次の三つのポイントと、それに基づく改革施策が提示された。
第一のポイントが「開かれた、わかりやすい区政の実現」である。これは、区民の理解と協力を得るためには、区役所等の情報を積極的に提供するなど、区民が区政運営に参画できるシステムの確立が必要になるという視点である。
第二のポイントは「効率的な行政サービスの提供」である。財団法人港区ふれあい文化健康財団の設立や情報化の推進による行政の効率化・高度化、スクールバス運行の外部委託など各事業の統合・縮小・外部委託化・廃止を検討する一方で、二四時間巡回型ホームヘルパー派遣事業、保育内容の充実など、区民サービスを向上させる施策を実施し、区政全体の効率化を図る取組である。
第三のポイントは「簡素でいきいきとした執行体制の実現」である。ここでは、区の組織や仕組みを、平成一〇年(一九九八)四月に再編整備し、職員は三年間で一三六人を他の必要な部署に配置し、一〇人の職員減を行うことや、職員の能力開発のための支援、職員提案制度の創設など一一項目の改善に取り組むとされた。
また、着実な実行のためには区民の理解と協力が不可欠であることから、「開かれた区政の観点から、毎年、計画の達成状況等について広報紙等でわかりやすく公表する」「今後、計画の進め方や公共施設整備等のあり方等の具体的な検討・進行管理は、庁内検討組織(活力ある港区区政推進委員会)を中心に行い、全庁を挙げて計画を進める」などが合わせて示された。なお、平成一一年二月には、これまでの行財政改革を継続・発展させつつも、区民との協働関係の確立に重点を置いて「区民とともに築く区政の推進」という視点を新たに加えた「第二次みんなといきいき区政推進計画」が策定されている。
【行政評価制度導入と港区行政改革大綱策定】 第二次みんなといきいき区政推進計画で計画された行政評価制度の導入は、二年間の準備と試行期間を経て、平成一三年度から本格導入されることとなった。
行政評価制度は、①新たな行政改革のシステム、②区政の透明性の向上と区民との信頼関係の確立を図るシステム、③職員の意識改革を促し政策形成能力を高めるシステムとして活用することとされた。行政評価の対象は、すべての事務事業とし、目標達成度や区民満足度などの客観的数値による成果指標などを設定し、事務事業の特性に合わせた評価表を用いて評価することとされた。
そして、平成一四年三月、区民に最も身近な基礎自治体として、また、都心区・港区にふさわしいスピーディーかつ簡素で効率的な区政運営を目指し、今後の行政改革の方向性を示す港区行政改革大綱が策定された。大綱は、これまでの行政改革の四つの指針(開かれた、わかりやすい区政の実現、区民とともに築く区政の推進、質の高い行政サービスの提供、簡素で効率的な行財政システムの確立)を継続しつつ、さらに発展させたものとなっている。具体的な事務事業の見直しは、行政評価制度を活用し、区の全事務事業(約一八〇〇事業)について進行、管理するとされた。