六一都区合意:都区制度改革の基本的方針

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「『特例』市の構想を――特別区制度の将来」という特別区側の案と東京都側の「新しい都制度のあり方」の二つが出揃ったところで、昭和五九年、都区協議会の下に設置された都区制度検討委員会において、都区双方の考え方をとりまとめ、新しい都区の制度の改革について都区間の合意案を作成する作業が開始された。合意案作成のための都区制度検討委員会の事務局は財団法人特別区協議会の中に設置されたが、その事務局は東京都や特別区からの派遣職員で構成され、港区からの派遣職員もいた。また、時折港区長もその事務局に職員の激励に赴いたという。
そして昭和六一年二月、「六一都区合意:都区制度の改革の基本的方針」と呼ばれる都区協議会での合意案が示された。この合意案では都区の基本構造として、新しい大都市制度を新設し、都は新しい自治体としての新しい都へ、区は名称を別途検討するものとしての新しい複数の基礎的自治体として置くこと、法的性格は、都は広域の自治体としての普通地方公共団体、区は基礎的な自治体としての普通地方公共団体で、新しい都は大都市経営に必要な事務を処理するものとされた。また、特別区は都から移管対象事務を二四事務に整理し、次の都区制度改革に向けた基本的方向性を示したものとなった。なお、清掃事業(収集・運搬)の移譲については、「住民の理解と協力、関係者間における速やかな意見の一致が望まれる」と記された。