都区間での一定の合意を成し得たものの、それからすぐに都区制度改革が達成できたわけではない。改革は地方自治法等地方制度に関わるものであり、まずは地方制度調査会において国の場で一定の大都市制度に関わる諮問と議論がなされ、答申を得る必要があった。国の動きでは昭和六二年六月の第二一次地方制度調査会で都区制度改革が一つの審議項目となったものの、第二一次地方制度調査会での答申では先送りとなり、第二二次地方制度調査会で主に審議されることとなった。そして結果として、平成二年九月第二二次地方制度調査会において「都区制度の改革に関する答申」が示された。ここではまず、特別区は都の特別区の存する区域における基礎的な地方公共団体である一方、財政調整制度の継続を想定していることから特別地方公共団体の位置付けは残すものとされた。役割分担としては、特別区は特別区の存する区域を通じて都が一体的に処理する必要がある事務を除き、原則として、市が処理することとされている事務を処理することを基本的な考え方とし、都に留保されている事務についてはできる限り特別区に移譲することが適当であると指摘された。