主要五課題の整理がなされた平成一八年の都区合意を受け、同年一一月に都区協議会の下に都区のあり方検討委員会および専門的な事項を検討する幹事会が設置された。
ここでの検討課題は①都区の事務配分に関すること、②特別区の区域のあり方に関すること、③都区の税財政制度に関することである。事務配分については、都の内部管理を除いたすべての事務四四四項目を検討対象とし、平成一九年一月から二三年八月まで検討された。検討結果は五三事務が区へ移管する方向で検討すべき事務として整理されたが、その後、都が、特別区の区域の再編議論抜きに進められないと主張したことから、以降の取り扱いに関しては未定となった。
特別区の区域に関することについては、平成一九年から検討に入り、同二一年二月の検討委員会において将来の都制度や東京の自治のあり方について都と区市町村および学識経験者を交えた調査研究の場を設けることとし、東京の自治のあり方研究会が設置された。東京の自治のあり方研究会では平成二七年に地域別の人口推計データを用いて地域ごとの課題を踏まえた最終報告が取りまとめられたが、その後の扱いについては未定となっている。税財政については平成二〇年に特別区側から論点が提示されたが、具体的な議論にはならず、今後の検討の推移を踏まえて整理することになっている。その後、都内で発生した児童虐待死事件を踏まえ、移管を検討する方向で整理された五三事務の一つに挙げられた児童相談所に関する事務について、特別区から都に対して議論を進めることが申し入れられた。その後、児童相談行政に関しては、都区のあり方検討会から離して都区間の連携や体制を広く検討すべき課題として協議していくことが確認された。 (箕輪允智)