やすらぎのある世界都心・MINATO―「港区基本計画(平成一五~二〇年度)」の策定

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第三次基本構想の策定を受けて、平成一五年三月に策定されたのが港区基本計画(平成一五~二〇年度)である。なお本基本計画から、計画年度を八年間から六年間に変更し、社会の急速な変化に対応できるようにした。さて本計画では、基本構想で示されたとおり、三つの重点分野(「かがやくまち」「にぎわうまち」「はぐくむまち」)の下に、それぞれについて計六つの基本政策を設定し、さらに基本政策に関連した政策分野ごとに計画化事業を提示している。基本構想における政策分野は二七であったが、重点分野「にぎわうまち」の基本政策「地域の課題を自ら解決できるコミュニティをつくる」に政策分野「平和と人権を尊重し、女性と男性が平等に参画する社会をつくる」が付け加えられ三つの重点分野、六つの基本政策、二八の政策分野で構成されることとなった。
さらに基本計画では、三つの重点分野に加えて、緊急的・重点的・戦略的に取り組む六つの課題が設定された。具体的には、①活力を失いつつある地域コミュニティの再生を目指す「人口の都心回帰への対応と新たなコミュニティの形成」、②NPO等多様な主体との事業展開や人材育成を目指す「NPO等の多様な主体との協働」、③「MINATOブランド」の発信、④子どもの主体的権利に配慮した「子供の『育ち』を支える環境整備」、⑤高齢者や障害者が持つ能力を地域社会において育成・活用する「地域の潜在的活力を支え再生する取り組み」、⑥自然災害や都市型犯罪に備える「都心の危機管理」である。この六つの課題に対しては、三つの重点分野を横断して取り組むべき事業が提示されている。すなわち本計画は、重点分野という縦糸と、緊急的・重点的・戦略的課題という横糸からなる総合的・体系的な計画といえよう。
また、これらの重点課題に対し的確に取り組むための専管組織も設置されていた。戦略事業推進室の事業推進課は、先駆的施策の計画、調整を行うとともにパイロット事業を推進するなど、新たな施策展開へ向けたリード役を務め、NPO法人を中心とする民間事業者等、多様な主体との連携を図りながら、より地域に適した柔軟な施策を積極的に展開する役割を担うこととなった。  (名取良太)