個性のある地区版計画書

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五つの地区ごとに策定された計画は、地域特性を十分に踏まえた、それぞれに個性のある内容となっている。表2-3-3-4に示すのは、地区版計画書に示された将来像である。
計画書の内容も、地区ごとに個性のある、地域の実情を反映したものとなっている。以下では、各地区の計画書の概要を紹介し、地区ごとそして策定時期ごとの違いをみていくことにしたい。

表2-3-3-4 地区ごとの将来像

【芝地区版計画書】 平成二一年三月に策定された計画書では、基本計画における三つの重点分野(かがやくまち・にぎわうまち・はぐくむまち)に対応した施策・計画化事業と、分野横断的・重点的に取り組む二つの課題(「地域の区民が主体となったまちづくりの推進」と「地域の繋がりや支え合いによる地域課題解決力の再生」)が提示された。またそれらの課題解決のための地域事業として清掃グッズの作成や防災フォーラムの開催、帰宅支援マップ作成会の開催などが挙げられた。
平成二七年三月策定の計画書では、重点課題に代わり、提言「芝地区を
〝さらに〟幸せにする二〇の提案」を示したのが特徴である。本計画における地域事業としては、「地域×企業 芝の防災底力向上プロジェクト」として防災セミナーや、「未来の親体験――ここから始まる赤ちゃんふれあい事業」として育児体験講座が実施された。
【麻布地区版計画書】 平成二一年度策定の麻布地区版計画書では、基本計画における三つの重点分野について、独自の将来像を設定し、それを実現するための六つの基本政策、一三の政策、二七の施策を明示した。予算化された地域事業としては、「災害時セーフティネットの構築」「安全・安心に特化した公園づくりの推進」など一二の事業がある。
平成二七年度策定の計画書では、目指す将来像は「生活者優先の、安全で安心して快適に住み続けられる国際・文化都市」のままとしたが、計画策定に当たり「地域そして世界へつながる〝AZABU〟をめざして」というキャッチフレーズを作成した。また、「地域の特性を踏まえた安全・安心なまちづくり」「多様なコミュニティの形成」「国際・文化都市としての魅力を生かした取組」という三つの重点課題を設定し、「六本木安全安心プロジェクト」「みんなでエコッとプロジェクト」など一一の地域事業を通じて、これらの課題を解決するとした。
【赤坂地区版計画書】 平成二一年度策定の赤坂地区版計画書では、「未来に向け共存できるまち赤坂・青山~コミュニケーションを育むまち~」という将来像を実現するために、基本計画における三つの重点分野に対応する将来像、政策、計画化事業に加えて、七つの重点的視点を設定した。そして、これらの視点に対応する形で「区民とともにつくる魅力ある歩行空間整備事業」「減らそうCO2~赤坂・青山~」「講談を活用した地域情報の発信」などの地域事業を実施するとした。
平成二七年度版では、目指す将来像が「未来に向け共存できるまち赤坂・青山~魅力あふれる国際都市へ~」に変更された。重点的視点は設定せず、基本計画における三つの重点分野に合わせて赤坂地区の五つの視点(政策)を示し、「看板バスターズ~置き看板ゼロ作戦~」「赤坂・青山会議~地元企業等による社会貢献ネットワーク~」など、それに対応した地域事業を示した。
【高輪地区版計画書】 高輪地区版計画書は、平成二一年度版、二七年度版ともに、基本計画における三つの重点分野に合わせたかたちで、高輪地区が目指す将来像と基本政策、ならびに地域事業など計画化事業を設定した。計画化事業のうちの地域事業であるが、平成二一年度版においては、歩いて楽しめる地域の魅力発見、地域の特性を生かした文化芸術活動の推進、子育て支援施設の充実などが挙げられた。また他地区にはみられない特徴として、「区民参画による地区版計画の推進」という(基本計画における「実現のために」に対応する)項目において、地域事業(メールによる区民意向調査)を実施したことが挙げられる。
平成二七年度版では災害に強い地域づくり、地域住民との協働による緑化の推進、地域の施設間交流の促進、歴史・文化を守り・伝える地域の資源の活用、地域ぐるみで子ども達を見守る環境づくりなどの地域事業を実施するとした。
【芝浦港南地区版計画書】 平成二一年度策定の芝浦港南地区版計画書では、三つの重点分野に対応する将来像、政策、計画化事業に加えて、「新旧住民のコミュニティの形成」「増加している子育て世代への支援」など、六つの重点課題を設定するとともに、特に「多様な主体との協働による地域づくり」を目指し、「憩いの水辺空間創出事業(運河沿いの遊歩道の緑化整備など)」「運河・水辺の魅力アップ事業」など、一一の地域事業を展開していくことを示した。
平成二七年度策定の計画書では、目指す将来像を「快適で温かみのある運河と海辺の未来都市・港区ベイエリア」に変更し、重点課題の設定はなされなかった。三つの重点分野に対応する「魅力ある水辺を生かし、快適なくらしを支えるまちを創出する」などの政策目標を、「みどりのあるまちづくり事業」「ベイエリア地域防災力向上事業」「自治体間交流促進事業」など、一一の地域事業を通じて実現していくこととした。