平成一五年七月の「次世代育成支援対策推進法」制定を受けて同一七年に策定された「港区職員子育て支援プログラム――港区特定事業主行動計画」は、区の職員に対する事業主としての子育て支援策であった。このプログラムは、職業生活と家庭生活の両立に向けた働き方の見直しや職場風土の変革に向けた意識の啓発に取り組むことを基本方針とし、特に男性職員について、望ましい子育て参加や休暇取得等を促進し、これを可能にする職場環境づくりに取り組むことを目標とした。
これに対し、平成二二年三月に策定された「次世代育成支援対策行動計画(平成二二~二六年度)」は、すべての子育て家庭および区民を対象に、区が今後取り組むべき子育て支援の考え方と方向性、目標を定め、具体的方策を示すものであった。
計画の基本理念は「明日の港区を支える子どもたちを育む―子育ち・子育て支援策の推進―安心して子育てができ、子どもたちを健やかに育む地域社会を実現します」とされ、これを実現するために、「就学前児童の子育て施策の推進」「子どもが健全に成長できる家庭環境の整備」「子どもを安全安心に育てられるまちづくりの推進」など、七つの目標を掲げた。
この時期の子育て支援に関する具体的な取組としては、平成一六年九月に放課後児童育成事業「放課GO→あおやま」の開始、一七年四月から仕事と子育て両立支援事業の開始、病児保育事業の開始、子ども医療費助成制度の対象を中学生にまで拡大、みなと子育てネットの開始、同年一〇月に子ども家庭支援センター(みなとキッズサポートセンター)開設、一八年四月に港南子ども中高生プラザ開館、ひとり親家庭就労支援事業開始、一九年六月から病後児保育事業開始、同年一〇月に待機児童を解消するための港区緊急暫定保育事業(旧飯倉小学校に東麻布保育室開設)と地域在宅子育て支援制度事業「みなとっこ」開始、二〇年八月に子育てひろば「あっぴぃ台場」開設(その後、順次各所に開設)、同年一〇月にみなと子育て応援プラザPokke開設、二四年四月にみなと保育サポート白金開設(その後、順次各所に開設)と、実に様々な施策が展開された。また、事業計画の策定や策定後の進捗管理等に、保護者や子育て支援にかかる関係者の意見を反映させるため、平成二五年六月に条例で「港区子ども・子育て会議」が設置された。