港区では昭和五六年(一九八一)に「港区婦人総合計画」を策定するなど、早くから女性政策に取り組んできたが、平成一一年の「男女共同参画社会基本法」制定など社会情勢の変化に対応し、二〇〇〇年代に入るとより一層の男女平等参画についての取組を推進してきた。
平成一六年三月には「港区男女平等参画条例」を制定し、人権尊重と性別による差別の解消、社会制度や慣行の中立性および個性と能力の発揮の確保など六つの基本理念(令和二年の条例改正により、のちに性的指向、性自認および性別表現の尊重と干渉、侵害の禁止を加えた七つ)を示すとともに、区の具体的取組として、男女平等参画に関する学習機会の提供と意識啓発や、暴力的行為その他の人権侵害の根絶と被害者への支援など八項目の基本的施策、みなとマリアージュ制度の設置、付属機関等への男女平等参画の機会確保、雇用の分野における男女平等参画の推進などを掲げた。
また、この条例に基づき、平成一七年三月には「港区男女平等参画行動計画(平成一七〜二一年度)」を策定し、①家庭生活と社会生活の両立、②あらゆる場における男女平等参画の推進、③人権の尊重と生涯を通じた健康支援、④男女平等参画社会実現に向けた社会制度・推進体制の整備という四つの目標と、それを実現するための施策・具体的事業を示した。そして、区が特に重点的に取り組むべき施策を「責任項目」とし、男女による子育ての支援、企業・事業主に対する働きかけ、審議会等における男女平等参画の推進、相談体制の充実と被害者への支援、職員の男女平等意識の向上などを位置付けた。
以降、平成二二年三月に「第二次港区男女平等参画行動計画(平成二二~二六年度)」、同二七年三月に「第三次港区男女平等参画行動計画(平成二七~三二年度)」、令和三年三月に「第四次港区男女平等参画行動計画(令和三~八年度)」を策定し、すべての人が性別等にとらわれず自分らしく豊かに生きることのできる男女平等参画社会の実現を目指し、施策を総合的かつ計画的に推進している。