赤坂プレスセンター
青山霊園と六本木ヒルズの中間付近に位置する赤坂プレスセンターの施設内には、米軍の準機関紙「星条旗新聞」の日本支社、独身将校宿舎、そして米軍ヘリポートがある。元は「麻布三連隊」(陸軍第一師団歩兵第三連隊)の駐屯地で、米軍による接収の後、現在の国立新美術館を含む一帯が昭和三三年(一九五八)に返還されたが、この地区は返還されずに今日に至っている。
プレスセンターという名称や付近の「星条旗通り」から、星条旗新聞社の所在地として馴染みがあるが、区政との関わりで焦点となってきたのは、ヘリポートの存在である。ヘリポートは、麻布十番と青山を結ぶ都道環状三号線の途中に立地していたので、これを開通させるため地下にトンネル(六本木トンネル)を通す計画が立てられた。トンネルの工事中、ヘリポートの使用が制約されるため、日本側は、一時的な代替地(臨時ヘリポート用地)として、ヘリポートの西側隣接地である都立青山公園の一部を米国側に提供した。この代替地はトンネル完成後、日本側へ返還される予定であったが、後に返還されたのは、ヘリポート北側の隅地であった。
区と区議会は、ヘリポートの使用による騒音や事故発生への懸念等から、米国大使館や国、東京都に対し、ヘリポートの早期撤去を継続して要請している。
ニューサンノー米軍センター
首都高速道路天現寺ランプのほど近くにあるニューサンノー米軍センターは、米軍関係者用の宿泊・会議施設で、日米地位協定などを協議する日米合同委員会の米国側の開催会場としても知られる。「サンノー」の由来は、二・二六事件の舞台ともなった赤坂の山王ホテル。戦後、米軍に接収され、将校用宿舎として利用された同ホテルは、昭和五八年に返還されたが、その際に代替施設として米軍へ提供されたのが、「ニュー山王ホテル」とも呼ばれるこの施設である。 (石上泰州)
図2-コラムB-1 赤坂プレスセンターとニューサンノー米軍センターの位置
港区総務部人権・男女平等参画担当「港区の米軍基地」(2020)から転載、一部加筆。この図の赤坂プレスセンターの範囲には、一時的な代替地や臨時ヘリポート部分は含まれていない