割拠的な町会活動

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昭和二二年(一九四七)五月三日に施行された政令第一五号以降、従来の町会が果たしていた機能は基本的に市区町村の設置する出張所が代替することとなった。港区では、六月一日から町会とのやり取りに使用していた連絡事務所を出張所に切り替え、芝地区・麻布地区・赤坂地区にそれぞれ設置していた支所単位で食糧配給登録を中心とする業務管理を行うこととした。芝地区には新橋・愛宕・竹芝・三田・田町・高輪・三光と七か所の出張所が置かれ、麻布地区には飯倉・霞町・本村の三か所、赤坂地区には赤坂・青山の二か所に出張所が置かれた。
昭和二二年一二月に区役所本庁舎が旧麻布区役所から旧芝区役所に移転されてからは芝支所が廃止され、芝地区の支所事務は本庁舎で直接処理されることとなった。さらに、昭和三三年九月には事務能率の向上や財源の効率的運用の見地から出張所が全廃されるとともに芝地区に高輪支所が置かれ、昭和五五年には芝浦港南支所が新たに設置、平成一八年(二〇〇六)の区役所・支所改革で芝・麻布・赤坂・高輪・芝浦港南の五地区に総合支所が設置されてからは、この五地区単位での地域活動支援が展開されてきた。
ただし、一章で見てきたとおり、東京都の進めようとした三区統合案に熾烈な抵抗を示していた旧区ごとの割拠性が残存した影響からか、港区の誕生後は各地区の町会の上位団体としての全域的な町会連合会は結成されていない。五地区ごとに見ていくと、平成二八年現在で、町会が七七団体ある芝地区には「愛宕一之部連合町会」「愛宕二之部連合町会」「愛宕三之部連合町会」「愛宕四之部連合町会」という連合会が四団体あり、町会四三団体の麻布地区は「麻布町会・自治会連合会」、三五団体の赤坂地区には「赤坂青山町会連合会」、三〇団体の芝浦港南地区には「港南地域連合会」がそれぞれ設立されているが、四八団体の高輪地区には連合会が存在していない。連合会の発足は「赤坂青山町会連合会」が昭和二九年と最も早く、「麻布町会・自治会連合会」が同四三年、「港南地域連合会」が平成一九年と続いている。なお、「麻布町会・自治会連合会」は平成元年九月に東京都町会連合会に加入しているが、その他の連合会は未加入となっている。巻末の図5-2-1は各地区の町会の分布を示したものである。
また、認可地縁団体として登録されている町会を除き、大多数の町会は任意団体として活動を行ってきたことになっている。したがって、個別町会の活動実態を記した公的な資料というものは存在しない。本節では、本史編さんに当たって協力を仰ぐことのできた町会団体が所持していた各種資料および港区役所が保有してきた統計資料等を元に整理していく。