みなと区民まつりと港区スポーツふれあい文化健康財団

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昭和五七年四月、港区内三六の団体の代表が設立発起人となり、みなと区民まつり実行委員会設立の呼びかけが行われ、実行委員会と港区の共催により、同年一〇月に第一回みなと区民まつりが開催された。当時の港区では緩やかな人口減少傾向にあり、そうした状況の中、薄れがちになる地域のふれあいや地域への関心、愛着を高めようとする機運が高まり、区民自らが企画運営する区民まつりの実行委員会が発足したのである。
第一回みなと区民まつりは、パレード部会、芸能部会、福祉部会、文化祭部会、もぎ店部会、みんなの広場部会、生活の広場部会、子どもの広場部会、スポーツ部会の九部会に分かれ区民参加の楽しい祭りが開催された。それ以降、みなと区民まつりは毎年一〇月の一大イベントとして区民の中に定着しており、令和元年の第三八回まで毎年開催されてきた。国際性豊かな港区では、世界各国のお酒やグルメが楽しめる散歩道や各国大使館によるステージなどもある。また、近年では全国連携によって他自治体からも多くの出店があり、ふるさと物産展として好評を得ている。
平成八年からは、みなと区民まつり実行委員会事務局を港区ふれあい文化健康財団(現在は港区スポーツふれあい文化健康財団)へ移し、実行委員会、港区、財団が区民まつりを共催している。
区民まつりを共催する港区ふれあい文化健康財団は、平成八年四月に財団法人として設立され、同一〇年には事業対象にスポーツ振興が加わり、同二二年には「港区スポーツふれあい文化健康財団」として公益財団法人の認定を受けた。設立の目的は、地域の問題解決等へ主体的に取り組む都心型コミュニティを形成するために、地域の人々の自主的な活動を支援し、コミュニティ振興、文化振興・生涯学習の支援、健康増進の各事業を推進するとともに、コミュニティの活性化のための機会と場を提供することによりコミュニティの振興を図り、健康で文化的な区民生活の向上と地域社会の発展に寄与することであった。その背景として、バブル経済期における区の人口減少と町会・自治会等の衰退が挙げられる。こうした地縁型組織の再興と、区外から通勤・通学する「昼間区民」との相互交流の深化を通じて、コミュニティを再構築する必要があったのである。また、文化振興、生涯学習支援、健康増進活動等はコミュニティ振興と関連する部分が多く、それぞれの区民支援を縦割り体制で行うことには限界もあったため、既存の制度や行政の枠を越えた新しい観点から、機動的かつ弾力的なサービスを担う組織が必要だった。
これまで財団は、区民まつりの共催のほか、遊泳環境改善を目指したお台場海浜公園での清掃活動「東京ベイ・クリーンアップ大作戦」、「お台場海浜マラソン」をはじめとする各種スポーツイベントやスポーツ教室、区内の大学と連携した公開講座「区民大学」(平成一〇年以降)といった様々な事業に取り組んできた。さらに、区民センター、生涯学習施設、健康増進センター(平成三〇年まで)、港区伝統文化交流館(令和二年から)などの施設管理運営にも携わり、コミュニティ振興等へ多大な貢献をしてきた。