もっとも、市町村が昭和二五年七月公布の「地方税法」により市町村税を賦課徴収できるとされたのに対して、特別区の課税権はすべて都の条例によって制約されることとなった。また、市町村は法定税目の他、法定外の普通税を賦課することができるとされたが、特別区は普通税の新設や都が定めた特別区税の変更について都の同意が必要とされた。すなわち特別区は、東京都の区域という一体性によって統一的に運営されることが望ましいという観点から、行財政上、都から多くの制約を受けており、自主課税権を持たないこととされたのである(東京都財政史研究会編 一九七〇)。
昭和二二年三月制定の東京都特別区税条例では、特別区が課税できるのは地租附加税、家屋税附加税、特別区民税、舟税、自転車税、荷車税、金庫税、犬税とされ、その後、同年一二月に不動産取得税附加税と原動機税附加税が、翌年七月には使用人税が加えられ、計一一税目となった(港区議会史編さん委員会編 一九九三)。