誕生当初からの財源問題

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当時の港区長である井出光治は昭和二二年六月の港区議会における区政一般に関する答弁で次のように述べ、現況の区の財政の問題点を指摘している。

(前略)今回都が与えました課税権は御案内の如く地租附加税及び家屋附加税の一部及区民税並びに自動車税その他若干の所謂雑種税等に限定されておりまして、その範囲は極めて狭く極限をせられておるのであります。本来地方税として市町村に賦課権を与えられておる営業税に対する附加税は都と一体的関連性を有するということを理由としたしまして三億五〇〇〇万円に達する固有財源を都条例を以て抑制せられて全然与えられておりません。また区民税のごときも都民税に比べますればその割合は極めて僅少でありまして、現在の状況におきましては区の財源は誠に貧弱であり、到底区の自主性はこれを行うことを得ないのみならず旧来の事務維持をいたしますにも著しき困難を来たすという状況にあるのであります。区が本来の公共事務を処理し、区独自の施設経営をおこないまして区民の福祉を図りますためには区財政の拡充を先決問題といたすのでありますが、区が特別区として地方自治法に定むる市と同様な自治権を得、これを基礎として区政を運営いたしますためには概ね地方の市と同様程度の課税権をもつことが絶対に必要であると思うのであります。(後略)

(「昭和二二年 東京都港区議会議事速記録」※旧字を常用漢字に修正、それ以外は本文ママ)