昭和二五~二七年度に実施された納付金方式では都区間の財政調整は紛糾し続けた。一方で、昭和二六年になされた神戸勧告をもとに新しく財政調整制度を構築することとなった。神戸勧告は昭和二七年の地方自治法改正にもつながり、区の都の内部団体化をもたらすとともに、財政権に関しても区側にとって極めて厳しい修正をもたらすものとなった。というのも、区が都の内部団体となることで、特別区の行うべき事務事業について、その必要な経費に見合う財源が特別区側にはあればよく、特別区を通じて普遍的なもの、すなわち自由な裁量をもって利用できる財源が区税収入を上回った場合に、納付金として都の財政となるというものであった。それとともに都条例による特別区相互間の調整や都区間調整のための都知事の助言勧告権が地方自治法他に明示され、都と特別区および特別区相互間における財政調整に関する権限も都に与えられることとなった。