平衡交付金制度の課題

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財政需要額の算定に、単位費用方式と呼ばれるものが導入された。それは単位費用×測定単位の数値×補正係数を基本とするものであるが、その例外として建設的経費や臨時的経費、人件費等については別方式が存在していた。建設事業費は別途作成される特別区行政施設建設五か年計画、特別区公共施設三か年計画に基づき、知事の名のもとで一件ずつ費用が換算される、いわゆる一件算定の方式がとられた。人件費に関しては、都配属職員については定員に基づいて現給を支給する方式、各特別区の固有職員については定員標準給が定められ、それに基づいて支給される方式であった。なお、昭和三九年度においては全特別区の合算で40・6%が単位費用方式による財政需要額算定であり、この例外とされた一件算定や人件費支給方式による算定が59・4%と単位費用方式を大きく上回るものとなっていた。
平衡交付金制度によって都から支出される交付金および納付金は都の一般会計から支出され、また納付金は一般会計に納付されるものであった。これは結果として交付金を受ける区は、算定に曖昧さが残る一件査定方式などを介し、同様に財政需要額に反映されるため、交付金を得ようとするインセンティブが生じ、また納付金を納める側も同様にできるだけ納付金額を抑えられるように一件算定の査定を増やそうとするインセンティブが生じるものとなる。そのため、港区も含む特別区側の多くが都の関係部署に依存しようとすることとなり、財政として都への依存傾向が強まるものとなっていた。    (箕輪允智)