歳出予算額の推移(昭和三九~四九年度)

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次に、表6-2-1-2から昭和三九年度~四九年度の歳出予算額をみてみよう。一般会計の歳出総額は、いずれの年度も前年度の額を下回ることなく四〇億五六〇〇万円から二五五億三五〇〇万円となり、高度経済成長を象徴するかのように六・三倍の伸びとなっている。ここから科目が大幅に変更されたが、ここの比率を確認すると、先に記述した重点施策と歩調があっていることがわかる。すなわち教育費の比率は20%~30%程度の高い水準で安定ないし増大しており、新たに設けられた民生費および土木建築費が15%~25%程度と大きな比重を持っていることが理解できる。また総務費は20%~25%程度と大きな比重を示しており、投資的経費に比べて経常経費のウェイトが高い歳出構造に変化がないことが確認できる。
さらに、この時代において新たに登場した科目、一般会計における公債費と特別会計における国民健康保険事業会計に注意する必要がある。公債費はこの時期に国がいわゆる赤字国債を恒常的に出すようになったことと軌を一にしている。またこの比率が始めはノイズといってよいほどの小ささであったものが、徐々に大きく膨らんでいくことが、現在の区の財政構造を大きく規定していることに刮目(かつもく)せざるを得ない。特別会計の国民健康保険事業会計は、国の制度設計に合わせて基礎的自治体の事務を昭和三四年度から開始したことによるものであり、この時期から福祉国家化が進んでいることの現れである。  (佐藤公俊)

表6-2-1-2 歳出予算額の推移(昭和39~49年度)

各年度の決算報告書から作成。昭和39年度以降の予備費は議決額ではなく予算現額(支出済額を除した額)である。四捨五入のため、合計が一致しない場合がある