特別区税の状況

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それでは表6-2-2-2(*)で、歳入のうち一貫して最も大きな割合を占めていた特別区税について詳しくみていくこととする。昭和三〇年度から同三八年度まで、特別区税のほぼ100%が普通税であり、さらに普通税の100%近くを占めていたのが特別区民税であった。なお、昭和三六年度から翌年度にかけて特別区民税の税収が一四・八億円から二一・六億円へと大きく増加しているが、これは、同三六年度までは所得税を基礎とする配賦課税方式がとられていたのに対して、翌年度以降は市町村民税所得割の課税方式のうち本文方式がとられることとなり、課税標準は前年の所得について算定した総所得金額、退職所得または山林所得の金額によるものとされたことによるものである(東京都財政史研究会編 一九七〇)。
昭和三九年度に普通税という項目は廃止されているが、それまで普通税の下位項目であった特別区民税が、その後も最も大きな割合を占めるという構造は変わっていない。しかしその割合は、昭和三九年度には99・7%であったのが、翌年度には七割台に低下し、その後は同四九年度まで六割台から七割台で推移している。一方、特別区民税の代わりに割合が上昇しているのが、昭和四〇年度に新たに項目に加わった特別区たばこ消費税と電気ガス税である。すなわち、前者は昭和四八年度まで一割台後半から約二割の間で、後者は同じ期間に一割台前半で推移しており、両者が特別区民税に次ぐ主要な税目になったことが明らかである。
このように、昭和四〇年度に税項目が変更されたが、これは同三九年の地方自治法改正に伴って行われた地方税法の改正によるものである。従来、特別区は法律上課税権を持たず、都条例によって特別区税を設定するという方式であったが、これを改め、特別区税として、特別区民税(市町村民税個人分)、軽自動車税、特別区たばこ消費税、電気ガス税、鉱産税、木材取引税、水利地益税、共同施設税、国民健康保険税を法定した。そして、こうした税目が定められた背景には、特別区間の税源の偏在を緩和して、都区財政調整における納付区を少なくするという意図があった(東京都財政史研究会編 一九七〇、『新修港区史』一九七九)。なお、表6-2-2-2(*)に示されているように、電気ガス税は昭和四九年度に電気税とガス税に分離している。