昭和四九年地方自治法改正による財政調整制度改革

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昭和四七年一〇月、第一五次地方制度調査会の答申で、財政調整に関する記述があった。それは、「事務の再配分に伴い特別区財政調整交付金で所要の措置を講ずるとともに、特別区財政の自主性を確保するため、その算定には、一件算定方式の廃止等極力改善合理化を図るものとする」ということであった。すなわち、地方自治法の改正により想定された保健所の移管や配属職員制度の廃止に伴って、算定方法の大きな変更の必要性があることが示されたのである。
この答申を受け、昭和四九年に地方自治法が改正されることとなる。この改正では、財政調整に関して旧第二八二条第二項中に「都と特別区及び特別区相互間の財源の均衡化を図り、並びに特別区の行政の自主的かつ計画的な運営を確保するため」という文言が新たに付け加えられた。これがこの法律に基づく新しい都区財政調整制度の趣旨、運用の基本方針となった。
加えてこの改正では、特別区の自主性の強化が図られたが、財政制度に関しては、なお大都市としての一体性を同時に確保するという考え方から都区財政調整制度を残す中で、新しい区の事務権限に応じた財政の自主性を確保することが主眼となった。具体的な制度に関する調整は東京都と特別区側の協議に基づき、最終的に都区協議で決定することになった。
協議において重要な論点は、①一件算定の廃止、②区の自主財源(留保財源)率の変更、③基準財政調整需要額算定方法の変更、④調整率の変更の四点であった。