表6-3-1-2(*)は昭和五四年度から同五九年度の東京二三区の経常収支比率の推移である。経常収支比率とは財政の弾力性を表す財政指標である。昭和五四年度は歳出予算額が前年度を下回った年度であり、経常収支比率はこの間において最も高い数値である75・1%となっているが、その後は60%台後半から70%台前半と非常に低い数値になっている。これは二三区平均の数値より10%程度低いものであり、義務的経費に比して地方税など経常的な歳入が大きいことを意味している。財政的に強い都心三区(千代田区、中央区)と比べても低く、かつ60%台を実現していたのは二三区の中で港区だけである。
このことから、港区が他の区と比較して財政上の優位を持っていたことが理解できる。一方でこのことはこの時期まで一貫して都区財政調整制度における納付区であり続けたことと表裏一体の関係でもあり、財政的な優位はこの制度によって相殺されていたともいうことができる。