以上は一般会計についてみてきたので、次に特別会計についてみていく。表6-3-2-3(*)は、国民健康保険事業会計の歳入決算額の推移を示したものである。まず、最も基本的な財源である国民健康保険料の割合は、昭和五〇年度の22・9%から同五九年度の39・9%に上昇している。すなわち、前節でみたように、昭和三〇年代と四〇年代を通じて国民健康保険料の割合はほぼ一貫して低下したが、五〇年代には逆にほぼ一貫して上昇したのである。
一方、一貫して最も大きな割合を占めているのは国庫支出金であり、昭和五八年度までは五割台で推移している。また、昭和五〇年度には国民健康保険料に迫る割合を占めていた都支出金は、同五八年度には3・0%にまで割合を低下させている。この他に、昭和五五年度に繰入金が登場し、翌年度には7・6%と、決して小さくない割合を占めるに至っていることが注目される。この繰入金は一般会計からのものであり、都支出金の割合が低下する中、一般会計からの財源が国民健康保険事業を支える役割を高めていったとみることができるだろう。
なお、昭和四八年に七〇歳以上の老人医療費の患者負担が無料化されたが、これにより、多くの高齢者が加入する国民健康保険の財政が悪化したことから、同五八年に老人保健制度が創設され(堀江 二〇一一)、港区でも同五七年度に老人保健医療会計が開始された。これについては四節二項でみることととする。 (天羽正継)