納付金制度廃止に向けて

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次の都区制度改革に向けた区側の基本的方針となった特別区政調査会による昭和五六年八月の「『特例』市の構想を~特別区制度の将来~」(特別区調査会第五次〈最終〉答申)においては、納付金は垂直調整を廃止した水平調整の原資と位置付けられていた。また、東京都側が設置した「都制度調査会」において、昭和五九年六月に「新しい都制度のあり方」が作成され、都知事への報告がなされた。それらが原案として踏まえられた都区間での合意、いわゆる「六一都区合意:都区制度改革の基本的方針」が決定された。そこにおいては財源配分としての垂直調整を廃止し、納付金は極力生じないようにした上で制度は存在するものとされた。納付金は新しい協議会での協議を経て都が財政調整を行う、調整税、地方交付税に加えた財源の一つと位置付けられた。すなわち、次の都区制度改革において、納付金は都区間の調整合意において維持されるものとされていた。
一方で、その方向性に変化をもたらすものが生じてくる。国に設置された第二二次地方制度調査会の答申で、財源配分としては都区財政調整制度を存続させざるを得ないが、財政運営の自主性を高めるものとすること、財源配分を中期的に安定なものとすることとしたうえで、総額補填主義と納付金を廃止することが示された。港区としては、懸案事項であり、これまで通算で二〇〇億円以上も納めてきた納付金の廃止が前進する期待が生じてきた。  (箕輪允智)