財政危機と行政改革

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区では前節の安定成長期においては税収と歳出が均衡していたが、前述のとおり行財政改善基本方針を策定するなど早くから財政規律の維持に努めてきた。しかしながらバブル崩壊後の不況が続くことにより、特別区民税がピーク時の三分の一にまで落ち込むこととなった。その一方で、区民サービスの一層の向上を目指し積極的な施策展開を図った結果、財政が危機状況に陥ることとなった。
平成八年の段階で三年後には一〇〇億円を超える歳入不足が見込まれるなど、行財政改革が待ったなしの状況となった。また同年には人口が一四万九七一六人という最小数を記録した。
そこで区は、同年一月に「みんなといきいき区政推進計画(港区版行政改革大綱)」を策定した。これは平成八年度から同一〇年度の短期間を射程とした改革大綱である。この計画の柱は①開かれた・分かりやすい区政の実現、②効率的な行政サービスの提供、③簡素でいきいきとした執行体制の実現の三つである。①にかかる改善として、行政手続条例の制定や区政運営への区民の参画、システムの確立など、②にかかる改善として、(1)仙石みなと荘等の予約・受付事務など一二項目のOA化、郵便局での公金自動引落の実施などの区民サービスの向上、(2)高原学園の運営方法の見直しなど二八項目の統合・縮小・委託化とロビーコンサートなど一七項目の廃止および検討、区有施設の使用料の抜本的見直しなど二四項目の見直し、③にかかる改善としては、組織の再編整備と職員の適正配置というものである。また毎年度計画を見直すとうたい、平成九年三月と同一〇年二月に増補版を出し計画の見直しを行っている。行政の効率化の観点からは、企画部と総務部を統合して政策経営部をつくり、土木部と都市環境部を統合して街づくり推進部(現在の街づくり支援部)をつくるなど、七部・一室・三保健所あったものが五部・一保健所になり、部長は一六人から半減するという大胆な組織改革を推し進めた。また、平成一一年二月には「第二次みんなといきいき区政推進計画」を策定し、引き続き行政改革を推進した。