行財政改革の指針はできたが厳しい財政状況に変わりはなく、区は社会経済情勢の変化に対応すべく財政構造そのものを改革し、公共施設建設基金や財政調整基金の取り崩しなどに頼らない財政運営を模索し始めた。それが平成九年一月に策定された「財政構造改革指針――平成九年度から一一年度までの三年間で財源不足の解消を目指す」であり、他団体に先駆けて財政の健全化に取り組むこととなった。
この改革の主眼は歳出規模の適正化、すなわち創意工夫や節約、新規事業の抑制、執行体制や事務事業の抜本的見直しによる財政構造の改革であった。平成九、一〇、一一年度においてそれぞれ一般財源等充当経費で四〇億円、三九億円、三八億円と段階的に削減し、同一一年度には予想される財源不足を解消することを目指した。基本的な方策として、徹底した内部努力により、職員の退職不補充や新規採用削減により一〇年間で約四〇〇人削減することを目指すこと(結果的には四二一人の削減に成功、第二次でも三六〇人削減)、スクラップ・アンド・ビルドの徹底など事務事業の抜本的見直しを行うことを掲げて改革を行った。