先にみたように、バブル経済の崩壊により港区の特別区税収入は平成三年度の五三四・六億円から同八年度には三四六・四億円へと大幅に減少した。こうした中、一項でもみたように、港区は平成九年一月に「社会経済情勢の変化に的確に対応した財政構造の改革を行うとともに、財政調整基金等に頼らない健全な財政運営をめざし」て、同九年度から同一一年度までの三年間を対象とする「財政構造改革指針」を策定した。そこでは「歳入の確保」についても述べられており、具体的な施策として「区税収入等の確保」(「区税収入の確保」、「国民健康保険料の徴収率及び国民年金保険料の検認率の向上」)、「受益者負担の適正化」、「区有財産の有効活用」、「特定財源の確保」(「補助金等の確保」、「起債の活用」)、「将来に備えた基金の確保」が掲げられた。すなわち、港区は極めて厳しい財政状況の中においても、こうした施策を通じて財源の確保に努めようとしたのである。 (天羽正継)