その後、人口増加に伴い引き続き増収が見込まれ、財政が安定的に推移する見通しの中、人口増加に伴う多様な行政需要や新たなまちづくりの動きの加速化などに的確に対応していく必要が出てきた。こうした区を取り巻く状況や課題が、リーマンショックや東日本大震災以降の特別区民税が減少局面にあった平成二三年度の前方針策定時と大きく変化していることから、一年前倒しして、同二八年一〇月の「港区財政運営方針(平成二九~三四年度)」を策定した。基本方針は、①将来にわたり持続可能な財政基盤の堅持、②地域の課題を区民とともに解決する取組の強化、③効果的かつ効率的な行財政運営である。具体的な取組として、(1)自主財源の積極的・安定的な確保、(2)将来課題に備える積極的・戦略的な財政運営、(3)迅速な課題解決につなげる取組の推進、(4)参画と協働のより一層の推進、(5)更なる内部努力の徹底が掲げられている。
主な取組として、首都直下地震等の突発的な財政需要に対する備えとして平成三四年度末までに震災復興基金を一〇〇〇億円確保することや、自主財源の積極的・安定的な確保として特別区民税や国民健康保険の保険料の収納率を向上させること、過去の減収局面における財源不足の経験を踏まえ財政調整基金を標準財政規模比で五割以上確保すること、同二一年度から導入している総合支所への予算枠配分方式を一層生かす仕組みを構築すること、「港区公共施設等マネジメント計画」に基づいた計画的な施設整備等を行うこととした。