区は、バブル経済崩壊後の財政危機に直面し、平成八年度以降、港区版行政改革大綱「みんなといきいき港区推進計画」や「財政構造改革指針」による行財政改革を断行し、その後も港区財政運営方針を四期にわたり策定し、予算のシーリングの実施、区債発行基準の設定、基金の有効活用、事務事業評価を活用したマネジメントサイクルの徹底、人件費の抑制等行財政改革に取り組んできた。
その結果、経常収支比率は、未曾有の財政危機に直面していた平成八年度決算において91・3%であったものが、人口増に伴う特別区民税収入の増加もあいまって、同一二年度以降、70%台以下で推移し良好な状況を維持し、同二七年度決算では65・4%となっている。
基金については、財源の不足等を年度間で調整するための財政調整基金は、平成二六年度末の財政調整基金残高を標準財政規模の40%程度確保することとし、同二七年度末の財政調整基金残高は六七六億円であり、対標準財政規模は80・7%となっている。また、社会基盤の整備等特定の目的のため積立てる特定目的基金は、震災復興基金や公共施設等整備基金、教育施設整備基金、子育て王国基金など一七の積立基金があり、有効な基金活用を図っている。平成二九年度末の基金残高は一四九〇億円となっている。
平成一八年八月からは総務省モデルを活用した地方公会計の整備等が要請され、区は、「港区の会計制度改革に関する検討委員会」での検討を経て、同二〇年度決算から「総務省改定モデル」に基づく財務書類を作成し、公表している。平成二八年度決算からは、同二六年四月に国から示された「財務書類の作成に関する統一的な基準による財務書類を作成し、事業別・施設別のコスト分析等に活かし現在に至る。 (佐藤公俊)