三位一体改革は、国から地方への税源移譲、三位一体の改革により、国庫補助負担金の削減、地方交付税交付金の削減の三点を同時に行うものであったが、東京都と特別区に影響を及ぼしたのは前者の二つである。
まず一つは三位一体改革によって、所得税から個人住民税への税源移譲があった。これによって高額所得者の多い都心区を中心に減収が見込まれた。二つ目は国庫補助負担金改革による減収が見込まれたことである。この影響として、特別区側は影響額を七七七億円と見込んだ。それらを踏まえて特別区側は少なくとも配分率を3%以上アップすることを主張した。一方で東京都側は影響額を六二二億円と見込み、そのうち財源不足の補填に必要な見込み金額三六五億円をもとに2%の財源配分に反映すべきとした。このように大きな隔たりがあった中で議論がなされており、これが議論の難航の原因であった。
一方で当時の調整三税による財調財源は、年々伸びている状況であった。すなわち配分割合を変更せずとも特別区財政調整交付金に充てられる金額が増えているといった中での財調協議となっていた。とはいえ区側は3%アップするものとして交渉が進められ、結果として配分割合は特別区側の3%アップによる55%とし、そのうち2%を三位一体改革の影響対応、うち1%を東京都から特別区へのさらなる事務移管や都の補助事業の一部を特別区の自主事業に充てることとされた。
また、この協議の中では特別交付金の割合の変更も議論された。そこではその他特別な事情に要する経費の算定対象としての拡充や、普通交付金では対応できない不交付区の三位一体改革の減収影響に対する激変緩和措置に講ずるものとして、特別交付金の割合を平成一二年度の都区制度改革で変更される前と同じ5%とし、普通交付金充当分を95%とすることに変更された。