令和二年(二〇二〇)一〇月二〇日の閣議において、同三年四月に港区を「児童相談所設置市」に指定する児童福祉法施行令の一部を改正する政令が決定し、児童相談所、子ども家庭支援センター、母子生活支援施設の複合施設として、港区子ども家庭総合支援センターが開所した。
一方でこの運営においては財政的な課題を有しているものである。児童相談所の経費に関しては地方交付税交付金の場合は基準財政需要額の一部として算入されているのに対して、特別区財政調整交付金の中では算入されていなかった。この課題は特別区が児童相談所の設置の動きを始めて以来、施設の設置と共に財源の裏付けをどうするか常に議論がなされつつも決定されていなかった課題であった。
そこで、児童相談所の開所を令和二年四月として進めていた世田谷区、江戸川区(同年七月に荒川区)の開所の直前の同年一月の都区協議会において、令和二年度からこれまでの配分割合の0・1%増、55%から55・1%への増加を都区間で合意した。
区側にとっては、0・1%では児童相談所経費の試算からは大きく不足しており、また算出の根拠が不明であると都議会議員や特別区側から不満も出た。一方で、これまで一二年間変更のなかった配分割合の変更機会となり、都区間の役割分担に大きな変動があった場合に配分率の変更がなされるとされていた事例ともなり、その意味においては一歩前進といえるものであった。また、港区は令和三年四月だが、その後に開所する児童相談所も増加する予定の同四年度に、配分割合のあり方について、改めて協議することとなった。 (箕輪允智)