道路整備

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港区は東京都心の一角を構成しており、昭和三九年の東京オリンピック・パラリンピック等を契機に放射状方向を中心にした広域的な幹線道路である都市計画道路整備がなされてきていた。幹線道路の整備に当たっては、沿道の土地利用との整合性や地下空間の計画的な有効利用や風格ある都市景観の形成といった面への配慮が不可欠であった。また、整備に伴い、自動車交通量が増加し、道路の拡幅や橋梁(きょうりょう)の改良だけでなく、区民の安全な道路交通の確保に努める必要があった。幹線道路は、前述のとおり、放射状方向に整備が進んでいたが、環状方向へは不十分なところがあり、経済活動等を支える幹線道路の整備が必要であった。しかし、交通網整備は権限や実施手段等、区独自でできることが極めて限られていることから、国や東京都へ継続して要請するとともに民間企業の協力も働きかけていった。
こうした取組の中、区では新たな道路環境を整備していくため、昭和五七年から、電線類の地中化を推進し、街路景観の向上や災害時の避難路の確保等に努めるとともに、歩道やガードレールの設置等により、区民の安全な道路交通の確保に努めていった。昭和五七年から、日常生活や区民交流の中心的地域における高齢者や障害者をはじめ、すべての歩行者の安全性と人間的なふれあいを高めるコミュニティ道路の整備を進めていった(表 7-4-2-1①および②)。

表7-4-2-1① 年度別コミュニティ道路整備一覧

令和3年4月1日現在。「港区の街づくり」令和3年度版から転載

表7-4-2-1② 年度別コミュニティ道路整備一覧


芝浦港南地域をはじめとする東京湾岸上の都心機能立地等に対しては、内陸部と湾岸部を緊密に連携することが重要であり、各種交通機関の充実についても関係機関へ要請をしていった。こうした中、東京都では臨海副都心開発の中で、広域幹線道路の整備を進め、平成五年八月に内陸部と湾岸部を結ぶレインボーブリッジおよび首都高速道路一一号台場線が開通した。
地域の生活幹線道路となっている補助幹線道路は、未整備区間が多く、都市計画道路整備事業として拡幅等の整備が必要であった。それらの中には商業業務施設の立地を抑制して、住宅地としての静かな環境を保障するとともに、個性的で変化に富んだ景観に加え、地区の魅力の一つとなっている道が少なくなかった。しかし、通過交通の進入で危険な道路、行き止まりなどにより日常生活の中で不便な部分もあった。そのため、住宅地の環境を保全しながら、日常生活における利便性・安全性・快適性を支えるとともに、緊急時の避難として役立つ地区の日常生活を支える生活道路を整備することが必要であった。また、一部の地域ではあるが、狭あい道路が集積しており、交通機能上の問題や防災上の危険が予想されることから、地区の特性を配慮しながら必要な区画道路網を作るため、狭あい道路の拡張、整備が必要であった。