山の手地域や湾岸部には、鉄道駅や主要バスルートから離れていて交通が不便な地域が存在した。そのため、土地利用の整序と合わせた地下鉄の建設促進や新交通システムの導入によって、これらの交通不便地域を解消する必要があった。交通の不便さは地下鉄整備によってある程度改善される。しかし、家のそばまで走るバスサービスの必要性がなくなるわけではない。鉄道網も主として都心への通勤交通に対応して、放射状方向に整備されており、必ずしも区内での生活行動にとって十分であるとはいえず、主に環状方向にバスサービスの向上が必要であった。バスについては、東京都のほか民間事業者が運行サービスを行っており、公共交通不便地域の解消やシャトルバス、水上バス等の導入の検討を関係機関に要請していった。
こうした中、鉄道網では、地下鉄六号線(都営地下鉄三田線)は、三田―目黒間(4・0㎞)の延伸、地下鉄七号線(東京メトロ南北線)は、目黒―溜池山王間(5・7㎞)の新設が予定され、それぞれ平成四年、同三年に工事に着手した。また、地下鉄一二号線(都営地下鉄大江戸線)は、平成四年に東京都地下鉄建設株式会社が環状部の建設を開始した。さらに、臨海副都心開発の中で整備を進めてきた新交通システムゆりかもめは、平成七年一一月に新橋―有明間が開通した(同一八年三月に豊洲まで延伸)。
図 7-4-2-3 地下鉄工事(汐留)の様子
提供:東京都交通局