道路整備については、区は都市計画事業として昭和六二年(一九八七)に事業着手された補助第七号線などの都市計画道路の整備を進め、特に二〇〇〇年代以降は以下のような動きがみられた。公共交通については、平成一二年に東京メトロ南北線と都営大江戸線が開通した。大江戸線開通を受け、平成一四年には大江戸線とゆりかもめが停車する汐留駅が開業し、同年汐留地区の街開きがなされた。また、都営バスの運行見直しによる廃止路線が増えたことも受け、地域の足としての利便性を確保するために平成一六年一〇月から区独自の新たな地域公共交通として「港区コミュニティバス(ちぃばす)」の田町ルート・赤坂ルートを開通させた。これにより公共交通の利便性は向上した。また、品川駅港南口などの駅前広場の整備や一ツ木通り等における景観等に配慮した道路の整備により、区全体としての交通環境は向上しつつあった。
また、環状第二号線(新虎通り)や補助第七号線などの都市計画道路が整備され(七号線は令和七年完了予定)、道路ネットワークの構築に寄与した。これに伴い、沿道の街並みも変化した。引き続き「東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)」(平成二八年)に基づき優先整備路線を中心に東京都など関係機関と連携・調整を図りながら、整備を進めている。港区コミュニティバス(ちぃばす)は、平成二二年から新たに、芝・麻布・青山・高輪・芝浦港南の五路線の実証運行を行った後、同二四年四月から本格運行に移行した。平成二五年五月から麻布路線を麻布東ルートと麻布西ルートに分割し、同二九年三月に、七路線八ルートが運行された。さらに、平成二四年には台場シャトルバス(お台場レインボーバス)の運行が開始された。
バリアフリーに関しては、歩道の整備、電線類の地中化、放置自転車の撤去などハード・ソフトの両面から取り組まれた。平成七年に制定された「東京都福祉のまちづくり条例」や同一二年に国が制定した「交通バリアフリー法」に基づき、歩道の段差解消や点字ブロックの設置、駅舎エレベーターの設置を進めた。この交通バリアフリー法に続き、平成一八年一二月に「高齢者・障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(通称「バリアフリー新法」)が施行されたことを受け、ユニバーサルデインの考え方に基づくより総合的なバリアフリー整備が必要となり、同一九年に「港区交通バリアフリー基本構想」が策定された。平成二六年には「港区バリアフリー基本構想」を策定し、特に快適に楽しく歩ける環境を目指し、同年から歩行空間のバリアフリー化を進めた。また、「港区電線類地中化整備基本方針」も同年に策定された。
さらに、誰もが安全で快適に移動できるよう、バリアフリー空間のネットワーク化を進め、ユニバーサルデザインの考え方を踏まえた案内標識などを拡充整備した。また、歩行者の安全性や利便性を高めるとともに、街路樹で彩られた並木道や水辺の散歩道の整備など個性的で魅力ある歩行空間の創出や開発事業等において民有地と歩道の一体的な整備を行うなど、沿道と一体となって魅力的な歩行空間をつくることによって、「楽しく歩けるまち」が実感できる空間整備を推進した。
安全で快適な歩行環境を確保していくため、違法駐車の排除、道路障害物の撤去のほか、放置自転車等の撤去、迷惑駐輪防止のための啓発活動も実施してきた。平成一二年四月には「港区自転車等の放置防止及び自転車等駐車場の整備に関する条例」を施行し、集客施設における自転車等駐車場の付置義務や駐輪禁止区域の指定等により、放置自転車対策等を講じた。