景観と環境

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景観と環境については、一九九〇年代半ば、区立芝公園などの公園や運河沿い緑地の整備を進めるとともに、地区計画や総合設計制度運用時の開発事業者への指導等により、公開空地等の確保を図っている。
平成九年には「港区景観マスタープラン」を策定し、さらに「都市景観づくり要綱」を同一四年に制定し、一定規模以上の建築物の建築等を対象に届出を求め、助言や指導を行った。こうした取組を継承しつつ、平成一七年の「景観緑三法」の施行など都市計画を取り巻く状況の変化にも対応した。平成二一年六月に「港区景観条例」を制定し、景観行政団体として「港区景観計画」を策定した。その後、小規模建築物が景観形成に影響を及ぼす事例の出現や、広範囲における新たなまちづくりの進展など、区の景観を取り巻く状況の変化などを受け、平成二七年に景観計画を一部改訂した。
港区は景観計画および景観条例に基づき、法的根拠をもって地域ごとの景観特性に応じた建築物の指導・誘導を行うなど、きめ細かな景観施策を展開している。坂道の起伏、斜面緑地、古川や臨海部など、地形の特徴を生かした景観や寺社、文化財庭園や歴史的建築物など、地域資源を生かした景観の形成に取り組んだ。さらに、緑と水については、大規模な土地利用転換における従前の緑地の保全および新たな緑地の創出を誘導した。緑化基準の強化などにより、緑被率の調査を開始した昭和五四年以降、緑被率は一度も減少することなく年々増加し、平成二九年当時二三区でも上位に位置した。しかし、公園の総面積が年々増加している一方で、人口の増加に伴い、区民一人あたりの公園等面積は減少していた(平成二九年まちづくりマスタープラン)。
環境については、平成一九年のまちづくりマスタープランが策定された当時、地球温暖化現象やヒートアイランド現象の緩和など環境負荷低減に配慮したまちづくりが求められていた。また、港区は、地球温暖化に影響を及ぼす二酸化炭素の排出量が東京都内で最も多く、とりわけ民生業務部門の排出量がその多くを占めた。そのため、港区は都市の低炭素化を強力に推進するため、「都市の低炭素化の促進に関する法律」(エコまち法)に基づく「港区低炭素まちづくり計画」を平成二七年に策定した。その後、ゼロカーボンシティの実施やSDGsの目標達成への取組などの社会状況の変化を踏まえ、令和三年に計画を改定した。