環境影響評価制度の導入に続き、平成八年(一九九六)には「港区環境基本計画MiELプラン『居住環境都市みなと』をめざして」が策定された。MiELプランでは、居住環境都市が目標として掲げられており、その目標達成のための基本方針として、①恵み豊かな自然の「創造」、②都市の基調は「循環」、③気配りとゆとりの「生活」、④環境づくりに自ら「参加」の四つが掲げられている。基本計画の策定に際しては、アンケートを通じて区民の声が参考にされている。MiELプランの中にはアンケート調査の結果が一部掲載されており、例えば、「港区において、将来的に実現していくことが望ましい環境として、特に大切だと思われるもの」を尋ねた質問では、「季節を感じるまち(37%、目測で一桁までの数値とする、以下同様)」「ごみがないまち(31%)」の二つが多くの支持を集めている。以下、「居心地のいいまち(25%)」「星空がみえるまち(23%)」「気配りのあるまち(21%)」と続く(港区 一九九六)。当時の港区の区民にとって、ごみ問題などの居住環境の問題が重視されていたことがうかがえる。
環境基本計画の推進、居住環境都市の実現に向けて、環境問題にどう取り組む必要があるか、また区民、事業者、行政が果たすべき役割を位置付ける必要から、平成一〇年には「港区環境基本条例」が制定された。環境基本条例では、環境負荷への影響が少ない、居住と都市活動が調和したまちを目指すことが示され、区、区民、事業者の責務が定められた。環境問題の改善には区民や事業者それぞれが意識・行動を改めることが必要不可欠である。環境基本計画、環境基本条例の制定は、住みやすい居住環境を実現するための重要な第一歩であったといえるだろう。 (小田勇樹)