港区のごみ処理体制の整備

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ごみの処理で不適正な循環的利用および処分、最終処分場の残余容量のひっ迫、不法投棄の多発とその原状回復方策の確立などの課題が顕在化すると、天然資源の消費の抑制と環境負荷の低減を目指した循環型社会に向けた取組が求められた。「循環型社会形成推進基本法」(平成一二年〈二〇〇〇〉法律第一一〇号)では、法の対象となる物を有価・無価を問わず廃棄物等とし、廃棄物等のうち有用なものを循環資源と位置付け、その循環的な利用を促進するため、発生抑制、再使用、再生利用、熱回収、適正処分との優先順位を定めて処理する、発生抑制(リデュース)・再利用(リユース)・再生利用(リサイクル)からなる3Rの推進が求められた。

図8-2-3-1 港清掃工場 筆者撮影


港区の資源・ごみの処理は、可燃ごみについては、焼却規模一日当たり三〇〇トンの焼却炉三基(一基は予備基)からなる港清掃工場において、区内から収集された可燃ごみを中間処理・焼却している。同工場は、東京都が平成七年から建設を開始して同一一年一月に完成し、翌月から本稼働になった。資源については、平成一一年三月に清掃工場に併設された港資源化センターにおいて、区内から集められた資源プラスチック(平成二一年以降)、びん、かん、ペットボトルをリサイクルできるように選別・圧縮・梱包などの中間処理を行っている。不燃ごみは、平成五年八月完成の芝浦清掃作業所で積み替え、京浜島不燃ごみ処理センターと中防不燃ごみ処理センターに運ばれ、減容化のために破砕のうえ、資源となる鉄やアルミニウムを機械選別により取り出し回収される。粗大ごみは、小型車で収集され、資源化が可能な金属類等を回収、さらに破砕してパーティクルボードに再生される木質粗大ごみ(平成二八年四月以降)を除き、新堀粗大ごみ中継所において破砕・圧縮機能を持つ大型プレス車に積み替えられ、中央防波堤埋立処分場にある粗大ごみ破砕処理施設に運搬される。ここでは、埋立処分場を長寿命化するため粗大ごみを破砕・減容化し、鉄は回収し、可燃物は再度清掃工場に運び焼却するとともに、処理後中央防波堤外側埋立処分場・新海面処分場に埋め立てられる。
東京都臨海副都心の台場地区の可燃ごみについては、地域冷暖房システム、共同溝システムなど様々な先進的な設備がある中、他地区とは異なり、清掃車ではなく多くは平成七年に竣工したごみ管路収集システムにより、収集されるようになった。同システムの基本的な原理は、家庭で使用している掃除機と同じで、利用者設備に貯留されたごみを自動的に輸送管内の空気の力で有明清掃工場まで運ぶシステムで、利用者は二四時間いつでもごみを出すことができる。清掃車両から出る排気ガスによる環境負荷を低減するため、低公害のCNG(圧縮天然ガス)車両が平成一三年度に六台導入された。また、安定的な燃料供給確保のため、港東清掃事務所(現在のみなとリサイクル清掃事務所)内に二三区で初めてのCNGスタンドが設置された。 

図8-2-3-2 管路輸送システム 筆者撮影