居住環境の向上を目指す上で問題視されていたのが、たばこの吸い殻、チューインガムのかみかす、紙くず、空き缶、空き瓶など、街中に散乱するごみである。環境美化のため、ごみのポイ捨てに関するモラル向上が必要とされた。平成九年(一九九七)に「港区を清潔できれいにする条例」が制定され、平成一〇年四月一日から施行された。条例では、区長、区民等、事業者、自動販売機管理者等の責務が定められたほか、公共の場所におけるごみの投棄禁止が定められた。規定に違反してごみを投棄した者に対しては、指導および勧告が行われる(東京都港区 一九九七)。
平成一一年七月には、条例に基づき環境美化推進協議会が発足した。第一回の協議会では美化推進重点地区として、エスプラナード赤坂通り(赤坂田町通り)地区、青山通り地区、六本木交差点周辺地区が推薦された(同上 一九九九)。
平成一五年には「みなとタバコルール」が定められ、区内全域を対象に、区が設置する喫煙所以外での路上喫煙・ポイ捨てが禁止とされた。罰則をもって取り締まる手法はとらず、区・区民・企業等の連携、マナー・モラルの向上によって、路上喫煙とポイ捨て禁止の徹底が図られた(同上 二〇〇三)。ルールの制定と合わせて、平成一七年までの三か年を試行期間として、新橋駅、品川駅など乗降客数の多い区内の主要駅周辺五地区が重点モデル地区に指定された。重点モデル地区では、路上喫煙・ポイ捨てのない街を目指し、街頭キャンペーン、啓発活動、早朝清掃活動が集中的に実施された(同上 二〇〇四)。