港区の地球温暖化対策

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地球温暖化による地球規模での気候変動は、異常気象、大規模な災害を引き起こし、食糧危機や生態系などへ深刻な影響が生じた。都心港区においても、活発な社会経済活動により、二酸化炭素を主とする温室効果ガスが多く排出され、ヒートアイランド現象も相まって猛暑日や熱帯夜が増加するなど、区民生活にも様々な影響があった。
港区は、平成一〇年(一九九八)に制定の港区環境基本条例に基づき、「港区環境行動指針」を同一一年八月に制定し、人類共通の課題である地球温暖化防止に貢献し、区の環境行動を進めるため、同一二年六月に「港区環境率先実行計画」(「みんなとエコ21計画」)を策定した。また、平成一七年四月には、港区環境行動指針を改定し、区は自らの環境負荷を削減することを宣言するとともに、第二次計画を策定し、取組を強化した。平成二一年に策定した「港区環境基本計画」のもと、温室効果ガスの排出抑制等を進めていくための「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づき、区民、事業者、区が協働しての省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの導入、緑化の推進、廃棄物等の発生抑制等に取り組む「港区地球温暖化対策地域推進計画」が策定された。これを受け、平成二三年四月には「第三次港区環境率先実行計画」を策定し、一体的な環境施策、地球温暖化対策に取り組んだ。平成二五年三月には、事業者や区民が区内の温室効果ガスの排出の抑制等に関する活動を促進することを目的として平成二五年度から令和二年度(二〇二〇年度)までの八年間を計画期間とした「港区地球温暖化対策地域推進計画」を策定し、区内の地球温暖化対策の取組方針を定め、様々な取組を実施した。港区の令和二年度の二酸化炭素排出量(総量)を平成一九~二一年度の平均と同水準にとどめることを目標に掲げ、四つの基本方針に沿って、家庭や職場における省エネルギーの推進、建築物の環境性能の向上、二酸化炭素固定量の増加に貢献する国産木材の活用促進、区有施設等の省エネルギー化・再生可能エネルギーの導入推進等の施策が進められた。
平成二四年に施行された「都市の低炭素化の促進に関する法律(エコまち法)」を踏まえ、都心に位置する港区は、活発な社会経済活動や総人口の増加に伴い、二酸化炭素排出量が増加傾向にある中で、目指すべき将来像「人にやさしく かがやくまち 環境都心 みなと」の実現に向け、都市の低炭素化を強力に推進するため、平成二七年一〇月に「港区低炭素まちづくり計画」を策定した。平成二八年三月には、区が率先して地球温暖化対策に取り組むため、「第四次港区環境率先実行計画」(「第四次みんなとエコ21計画」)を策定し、新たな温室効果ガスの排出削減目標を設定して取組が推進された。
この間、平成二七年に国連気候変動枠組条約第二一回締約国会議(COP21)において採択された、令和二年度以降の新たな国際的な枠組みである「パリ協定」に基づき、国は令和一二年度の温室効果ガス排出量を平成二五年度比マイナス26%とする新たな目標を掲げた。平成二七年九月に「国連持続可能な開発サミット」が開催され、「持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダ」が採択され、「持続可能な開発目標(SDGs)」が定められた。持続可能な開発目標は、一七の目標(ゴール)で構成され、気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取ることが目標の一つとされた。
港区では、人口や建築物の延床面積の増加により、今後も温室効果ガス排出量やエネルギー消費量の増加が見込まれたため、区は、地球規模の環境の変化や、今後ますますの活性化が予想される区内の社会経済活動に的確に対応するため、「港区地球温暖化対策地域推進計画」を改定した。平成三〇年三月改定の同計画では、区内の二酸化炭素排出量を、平成一九~二一年度の平均値に対し、令和二年度には6・8%削減、令和一二年度には37%削減する目標を示した。
都心で人口増と高層化が進む地域の特徴を踏まえて、港区では、二酸化炭素の固定先としての森林に着目し、森林が豊かな地方公共団体と連携・交流しながら温室効果ガスの削減を図る施策が展開された。このための施策が「みなと区民の森」と「みなとモデル二酸化炭素固定認証制度」(後述)である。