景観計画の策定により、法的根拠に裏打ちされた形で、建築物・工作物や屋外広告物の配置、高さ、色彩等に関する基準が定められることとなり、まちの魅力をより高める良好な景観形成が進んだ。特に港区の骨格となるような地区・施設については、景観形成特別地区・景観重要公共施設が定められた。景観形成特別地区とされたのは、青山通り、三田通り、大門通り、プラチナ通り、有栖川宮記念公園、芝公園、神宮外苑銀杏並木、環状二号線、浜離宮・芝離宮庭園の九地区周辺と、水辺景観形成特別地区と呼ばれる運河沿い・海辺・台場周辺の地区である。さらに、平成二七年の計画改定で、外濠周辺、品川駅・新駅(現在の高輪ゲートウェイ駅)周辺の二地区が加わった。
港区の景観は、都心部としては貴重な緑地と水辺の空間が特徴的である。今後の景観形成の基本方針の第一としても、水と緑のネットワークの強化が掲げられており、古川の水質改善や、運河とまちが一体となった水辺景観の再生、臨海部の開放感ある海辺景観の創出などに取り組んでいる。また、自然景観の他にも、旧芝離宮恩賜庭園、増上寺のような歴史・文化資源や、青山通りのような道路沿いの街並み、六本木交差点、品川駅周辺、東京タワーからの眺望など、港区には多様で特色ある景観が数多く存在する。こうした港区の魅力ある景観を維持・発展させていく上で、景観行政は重要な役割を果たしているのである。
図8-3-2-1 景観形成特別地区の位置および区域図
「港区景観計画」(平成27年度改定)から転載