8コラム 区の木・花

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港区には区の木・花が存在するのをご存じだろうか。昭和六一年(一九八六)に、緑のシンボルとして定められたもので、区の木はハナミズキ、区の花はアジサイとバラである。
区の木・花の選定にあたっては、港区「区の木・区の花」選定委員会が設置された。はじめに選定委員会により、区の木候補一二種、区の花候補一四種が提案され、その中から区民公募(投票)の対象が選定された。選定にあたっては、他の区において区の木・区の花ではないこと、港区に古くから自生する自然植生種であること、国際性豊かなものであることが重視された。最終的に、区の木候補として、ハナミズキ、カシ(シラカシ)、タブノキ、ユリノキが、区の花候補として、ツバキ(ヤブツバキ)、アジサイ(ガクアジサイ)、バラ、キクが公募の対象となった。
前述の各四種を対象に区民公募が実施され、合計約一万二七〇〇人からの応募があった。投票の結果、区の木についてはハナミズキが五六〇〇人余(44・1%)の支持を得て選ばれることとなった。ハナミズキは北米原産の外来種で、明治二三年(一八九〇)に横浜の植木業者によってはじめて輸入された。「明治四五年に東京市からアメリカのワシントン市に贈呈した桜の木の返礼として、大正四年に日本に渡来し、国際交流の橋渡しをした(中略)港区にふさわしい国際性豊かな木」(港区 一九八六)である。
区の花は、バラが四一八一人(32・9%)、アジサイが三九五五人(31・1%)という結果となり、委員会での論議の末、二種とも区の花として選ばれることになった。バラは「明治時代に外国から渡来し(中略)港区でも明治二〇年には芝公園に『バラ園』が作られた(中略)国際性豊かな花」(港区 一九八六)であると選定当時の資料で説明されている。アジサイについては、「港区など関東南部に古くから自生する自然植生種であるとともに、(中略)区内の神社仏閣などの境内に多く見られるほか、公園、庭植え、鉢植えなどに広く活用され、緑化推進に適する花」(同上)であると説明されている。
いずれも港区の土地柄に適した木・花であり、街中で探してみてはいかがだろうか。  (小田勇樹)

図8-コラム-1 ハナミズキ

図8-コラム-2 アジサイ

図8-コラム-3 バラ