また、相談の内容は比率が高い順に契約(解約)の28%、品質・機能の20%、接客対応と買物相談の12%であった(図10-4-3-1)。
表10-4-3-1 消費生活相談件数
「みなと区政要覧」昭和58年版・同60年版から作成
図10-4-3-1 昭和60年度の内容観点別相談比率
「事業概要」(港区区民部商工課)昭和61年度版から作成。1%未満の項目は「その他」に含めた
第三に、消費者モニターの実施であった。これは、区内在住の消費者が、食料品を中心に生活必需品の小売価格を調査した。その結果は、消費者行政の基本資料として役立てつつ、調査活動を通じて調査員自身の消費者意識の向上を目的とした。調査品の種類は、野菜、果物、鮮魚、肉類、精米、日用食品、灯油と多岐に及び、昭和五八~六〇年には毎年三二品目を調査した。第四に消費者生活情報の提供であった。「ミナト消費者だより」「消費者ハンドブック」の発行や「広報みなと」の特集等を通して、区民に対して、消費生活上の知識・情報を提供し、区内の消費者活動や区の事業等を紹介、案内した。なお、「ミナト消費者だより」とは、「消費者保護基本法」が制定された昭和四三年に創刊され、区の消費者行政事業の報告や消費生活相談事例の紹介、当時話題になった消費生活上の事柄をわかりやすく解説し、消費者問題への関心を深めてもらうための冊子であった。
以上は区による取組であるが、消費者自身の自発的活動も進んでいった。第一に、「消費者コーナー」があった。昭和五五年四月に区立婦人会館の一角に誕生した同コーナーは、区内の消費者が気軽に立ち寄り、自由に語り合う広場であり、自主的に活動する拠点となった。こうした活動の背景には、多様化し複雑になった消費生活の中で、消費者が自らの権利を守り安全に暮らすため、消費者自身が勉強し、手を携えて活動することが必要であるという認識があった。活動は、主として区民参加による「消費者コーナー委員会」によって進められ、活動内容は、商品テスト、パネルの展示、「コーナーだより」での啓発等であった。第二に、区内の消費者グループ等が区と協力して、日頃の自主的な活動の中で調査、研究した成果を発表する「消費生活展」があった。第三に、消費者団体の育成も見られた。例えば、現在または将来の消費生活に関わるテーマについて消費者問題の先端的状況の現場を訪れ、現地での宿泊研修および関係者との懇談等を通じて認識を深め、活動に反映することを目指す「消費者リーダー研修会」、国内の消費者グループの自主的な研修会に講師を派遣またはあっせんする「消費者団体研修会」などがあった。第四に、不用品の利活用も進んだ。例えば、地区不用品販売会であり、これは生活物資の再活用を図るとともに、共催する消費者団体の育成を目指した。昭和四九年度から年一回全区的な規模で実施されていたが、同五三年度からは地区別に年四回実施された。 (三田妃路佳)