製造業

344 ~ 346 / 407ページ
港区製造業の産業構造全体に占めるシェアは、一九九〇年代には減少傾向となった。平成二年から同一二年の事業所数の推移をみると、事業所数は一五五八から一一五三と減少した(「工業統計調査」平成五、七、一〇、一二年)。平成三年では、前掲図10-1-3-1①のように全産業に占める製造業の事業所数では約7%であり、従業者数では12%となった。
さらに、平成一七年には、事業所数(従業者四人以上)は二九三となり、同一四年と比較して18・4%減少した。これは、東京都や特別区より減少幅が大きかった(港区産業・地域振興支援部産業振興課 二〇〇九、「工業統計調査」平成一七年)。
事業所数(従業者四人以上)は、その後も減少し、平成二〇年の二三六から同二四年には一五八と33%減少した。従業者数も、平成二四年は二五八一人と同二〇年の三三八七人から減少し、製造品出荷額等も七〇一億円から六四七億円に減少した。平成二六年になると、事業所数一二八、従業者数一八五二人、製造業出荷額四五五億円となり、減少が続いた(港区産業・地域振興支援部産業振興課 二 〇一五、同 二〇一七)。
製造業の中では、印刷・同関連業が最も多く、金属製品業、食料品製造業と続いた。
製造業の業種特性については、出版•印刷・同関連産業、化学工業、石油製品・石炭製品製造業等の分野で、全国および二三区平均と比べ相対的に集積が高い。中でも出版•印刷・同関連産業の比重は高く、平成三年の段階では、事業所数で港区製造業の約半数を占めた。
地場産業でもある出版・印刷業は、サービス業としての色合いを強めているソフトなものづくり産業としての転換がみられた。しかし、経営者の高齢化、技術革新への遅れ、他地域からの新規参入の増大等により、事業環境は厳しさを増した。印刷・同関連業について平成二〇年と同二三年とを比べると、事業所数は77%に、従業者数も86%、製造品出荷額等も81%と減少した。これに対し、生産用機械器具製造業、業務用機械器具製造業、電気機械器具製造業などは従業者数が大きく増加した。印刷・同関連産業の減少傾向は続き、平成二四年と同二六年とを比べても、事業所数は81%に、従業者数も61%、製造品出荷額等も57%と減少した(表10-6-1-1、港区産業・地域振興支援部産業振興課 二〇一五、同 二〇一七)。
港区内の製造業の地域特徴として、製造業の工場数が集積しているのは、芝地区と高輪地区であり、この二つのエリアの工場数は総数の約七割を占めた。従業者数も芝地区で従業者総数の約40%と割合が高く、高輪地区は約15%であった。
芝地区、赤坂地区、芝浦港南地区では、出版・印刷の工場数が多く、七割から八割を占めた。これに対し、高輪地区では金属製品や一般機械の工場数が多かった。

表10-6-1-1 港区の製造業の事業所数・従業者数・製造品出荷額の変化(従業者4人以上の事業所)

「第3次港区産業振興プラン後期計画」から転載、一部改変。数値の出典は経済産業省「工業統計調査」。Xは秘匿数値