平成三〇年の段階では、港区商店街連合会に加盟する商店会は五四団体(会員数二八八六)であった。昭和五五年の五〇団体(会員数二二八七)、と比較して変化は少ない。これは後述するように港区による振興策の成果であったとも考えられる。
商店会の多い地区をみると、芝地区(二二商店会)、赤坂地区(一二商店会)、麻布地区(一〇商店会)、高輪地区(八商店会)、芝浦港南地区(六商店会)の順となった。また、会員数の多い地区をみると、芝地区(九〇四人)、麻布地区(七一五人)、赤坂地区(六六五人)、芝浦港南地区(四一三人)、高輪地区(三五六人)の順となった。
港区の商店街への施策は、これまでの節で述べてきたように、様々に行われてきた。例えば、まず、商店街の診断の充実のために、①商店街の商業環境・背景を総合的に把握し問題点を指摘する「商店街診断」(昭和三八年度~。なお平成八年度からは経営近代化支援事業に含まれる)、②区内商店の経営状況、店舗施設、顧客対策、照明等の審査を通じて、時代の要請に即応した商店や経営改善の発展を図ることを目的とした「商店コンクール」(昭和四七年度~)が行われた。
次に商店街環境の整備として、①商店街の体制強化を助成し、商店街地域の環境整備を推進するための「商店街組織化助成」(昭和五七年度~)、②商店街の近代化を促進するため、商店街の整備及び活性化を推進し、中小小売業の経営の安定および発展、並びに魅力ある街づくりに役立てるための「共同施設設置助成」(昭和五七年度~)、③商店経営の改善向上、商店街の近代化および活性化に役立てるための「優良商店街視察」(昭和四一年度~)、④「大型小売店の事業活動の調整」(平成八年度~)、⑤商店街におけるコミュニティ活動に係る事業の円滑な推進を図り、商店街の活性化に役立てるための「コミュニティ商店街事業」(平成六~九年度の四年間)がなされた。
さらに、金銭面の支援として、①港区共通商品券発行事業支援(平成八~一四年度)②港区「いいまち・いいみせ」商品券支援事業(平成一〇~一四年度)、プレミアム商品券自主発行事業運営支援事業(平成一五年度のみ)がなされた。これらの支援事業が終了した後、港区内共通商品券自主発行事業運営支援が平成一六年度から始まった。
また、商店街共同事業・地域イベントの支援として、古くからなされている①地域商店街助成(昭和四七年度~)に加え、一九九〇年代には、②商店街げんきづくり支援事業(平成一〇年度から二年間)や③元気を出せ商店街事業(平成一〇年度のみの単年度事業)などが行われた。
二〇〇〇年代に入り、商店街のにぎわいを生み出す事業として、①地域コミュニティとの積極的な交流を図り、地域コミュニティの核となる商店街づくりのため、商店街が行うイベント事業に対し、その経費の一部を助成(補助率三分の二、限度額三〇〇万円)する「コミュニティ事業」(平成一五年度~)、②商店街等が自ら計画し実施する商店街の整備および活性化を推進する事業の経費の一部を区が助成する「商店街活性化事業」(平成一七年度~。なお、平成一六年度までは、前掲の共同施設設置事業〈施設整備等事業助成〉、にぎわい商店街事業〈商店街活性化事業〉として実施していたが、にぎわい商店街事業〈商店街活性化事業〉に統合)、③地域特性と個性を生かした魅力ある商店街の形成を推進するため、専門コンサルタントが商店街を巡回し、各種相談に応じる「商店街振興アドバイザー派遣事業」(平成一五年度~)、④区内商店街が実施するイベント等の情報を掲載した広告を、港区コミュニティバス「ちぃばす」に表示することで、商店街が行うイベント等をPRし、商店街への顧客の回遊性を高める「ちぃばす広告」(平成二二年度~)がなされた。
このほか、これまでの取組に加え、商店街に対し、複数年度にわたる集中的・包括的な支援を行うことで、商店街と地域との結束力を高め、商店街独自のアイデアや独自の地域資源を発掘し、個性的・魅力的な商店街への変身を促進する「商店街変身戦略プログラム事業」(平成一七年度~)、平成一八年度に実施した「商店街の新たな魅力づくり事業開発調査」を受けて、区内商店街と地方都市とのふるさと交流、および大使館との協働事業を実施する「商店街の新たな魅力づくり事業」(平成一九~二〇年度)が行われた。
さらに、緊急不況対策として、区民生活を支援し、消費の減退から売り上げが減少している商店街の活性化を図る「定額給付金セール・消費拡大セール」(平成二一~二二年度))や商店街の「マーケットニーズ」を把握し、効果的に「魅力あふれる商店街の育成」事業等を推進するため、調査を実施する「商店街周辺市場志向調査事業」(平成二三年度)といったものもなされた。 (三田妃路佳)