観光産業の成長

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港区は都心部であると同時に、多くの貴重な文化財や史跡、緑豊かな自然や水辺などはもちろんのこと、人気の飲食店や商業施設など、多くの観光資源を有している。これらへのアクセス手段も豊富であり、新幹線が停車する品川駅をはじめとした鉄道交通網、バス路線等交通の利便性が高い。空港へのアクセスも容易である。また、竹芝客船ターミナルは東京の離島部とのアクセスの拠点となることで、交通結節点と観光が結びついている。さらに、多数の企業や商業の集積は同時に多くの昼間人口と多方面からの訪問者を有することに繋がり、令和三年(二〇二一)三月三一日時点で旅館・ホテル二五一施設、客室数は三万一八五八室と二三区内でも最大の宿泊施設数・客室数も踏まえると、観光行動を生み出すことに最良の環境であるといえる。このような中で、港区は都市観光の展開を支援してきた。
昭和三四年(一九五九)には港区観光協会が設立された。その趣意書には以下のようにある。

商工振興策の一翼として、観光事業の使命がいかに重要であるかは多言を要しないところであります。

明治いらい、近代文化都市として発展してきたわが港区は、反面古い歴史に培われた数多くの名勝史跡と、加うるに地形の変化に富む自然の観光条件を具備しております。これらの新旧観光施設を全国に紹介、宣伝するとともに、施設の改善に努め、観光客の誘致を諮り、もつて本区産業の振興発展を期したいと存ずる次第であります。

ここに区内関係方面と相計り、港区観光協会を設立するため、先般有志をもつて発起人総会を開催いたしましたところ、別紙会則のとおり設立の運びとなりました。ついては、貴台におかれまして、右趣旨に御賛同下され、ご入会格別のご協力を賜りますよう貴意を仰ぐ次第であります。
港区は観光協会の設立以来、観光協会と連携して区内の観光振興に取り組んできた。
加えて、観光資源の創出として、国際色豊かな港区の特性を生かし、区内の魅力的な地域資源である大使館、商店街、企業と連携したイベントを開催し、外国人、日本人、来街者等の相互交流を促すことにより、港区の観光振興や産業振興を図り、さらなるにぎわいの創出をもたらすことを目的とした港区ワールドフェスティバルが行われている。
ほかにも、伝統の技能から最新の技術までの展示、実演、体験等を通じて港区内の産業や技術者・製品等を紹介するとともに、観光資源や商業・匠の技など港区の魅力を発信することで、港区内の中小企業と商店街の活性化を目指し、産業の発展・振興を図るための港区ものづくり、商業観光フェアの開催、港区にある神社仏閣等の歴史的観光資源を活用し、それぞれの時代の人物や事柄をテーマとして港区の歴史を解説する歴史フォーラムの開催などを実施している。