港区観光振興ビジョン策定とシティプロモーション

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平成一七年(二〇〇五)には港区基本計画を踏まえた各分野の計画として、「港区観光振興ビジョン」が策定された。同ビジョンは観光客数の10%(四〇〇万人)アップを目指し、平成一八〜二三年度を対象とし、「東京都や観光関連団体、各商店街、民間事業者、NPO、公共機関との相互協力や連携を強化して、国内外への情報発信、滞在の快適性の向上、区内回遊の利便性と魅力づくり、観光資源のネットワーク、観光消費の増加、区内での企業間取引の拡大など積極的、戦略的に事業展開」を掲げ、港区の産業振興と観光振興を連携させ、区内産業の活性化を図るものであった。
平成二四年には「観光先端都市MINATOの実現」を掲げた同二四〜二九年度を対象とした「第二次港区観光振興ビジョン」が策定された。第二次ビジョンは第一次といえる当初のビジョンを踏まえ、区内観光および産業のさらなる活性化を図ることを目的としたものであるが、より幅広い施策を目指している。特に平成二三年に発生した東日本大震災は、従来の観光振興の考え方を大きく変更させるものであった。観光における安全・安心の観点、震災の影響で観光客数が減少する状況を踏まえることが求められた。一方で東京国際空港(羽田)の国際化や外国からの観光客への査証発給に関する規制緩和は、追い風ともなりうる状況であった。このように、「東日本大震災」「国内外の観光動向の変化」「広がりのある観光行動の促進」「区民や在勤者も含めた観光客層の捉え直し」「実現に向けた推進体制」の五点を見直した。平成二七年には「第二次観光振興ビジョン後期計画」が策定され、外国人観光客等への環境整備や、観光資源の発掘・活用と観光ルートの創出などに関する事業を行うこととした。
平成三〇年度には同三〇〜令和五年度を対象とした「第三次港区観光振興ビジョン」が策定された。第三次ビジョンは第二次ビジョンと同様に六年間の計画であるが、令和二年度に後期三年を見直した。第三次ビジョンにおいては、令和元年度に開催されたラクビーワールドカップ二〇一九日本大会、令和二年度に予定されていた東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催、高輪ゲートウェイ駅開業、東京メトロ日比谷線新駅である虎ノ門ヒルズ駅開業ならびに令和九年に品川―名古屋間を結ぶリニア中央新幹線開業が特筆すべき変化として挙げられている。これらの変化を踏まえ、今後港区のさらなる観光客の誘致や地域の活性化等を推進し、港区に住み、働き、学び、訪れるすべての人々の心を惹きつけ、感動を与える都市観光を実現することを目指している。第三次ビジョンでは「国内外に向けた効果的な情報発信の更なる充実」「観光案内機能の強化や外国人観光客の受入環境の整備」「多様な主体と連携した周遊観光ルートの整備や広域的な周遊の促進」「区内の事業者、全国の自治体、地域組織等の力の積極的な活用」「観光データ整備及びマーケティングの視点に立った観光振興の推進」の五つを課題として提示しており、様々な施策を計画している。
また、これらで提示されたシティプロモーションの一環として、シティプロモーションシンボルマークを公募し、平成二九年に決定した。
令和二年度には、世界中で感染が拡大した新型コロナウイルス感染症により、人々の暮らしを根底から揺るがすとともに、海外からの入国規制や外出自粛等は、観光を取り巻く環境にも深刻な影響を及ぼした。こうした状況を受け、第三次港区観光振興ビジョンの後期見直しを行った。第三次港区観光振興ビジョン(後期計画)では、区が目指すべき姿として「訪れたくなるまち、憧れの港区」を掲げ、一般社団法人港区観光協会等と観光施策実現に向けた強固な連携・協働を推進することとした。