内職あっせん事業は、昭和五四年一〇月一日に港内職公共職業補導所が都から移管されたことが始まりであった。区は昭和五七年一一月一日、港内職補導授産所を開設(旧内職公共職業補導所)し、従来、内職公共職業補導所が行っていた内職あっせん等の内職補導事業を引き続き実施するほか、新たにお年寄り、生計を立てることが困難な人などを対象とした授産事業(区が民間事業所等から請け負った仕事を対象者に提供し、見合った工賃を支払う事業)を開始した。対象は区内在住の①六〇歳以上の人、②生活保護を受けている人、③生計中心者の特別区民税所得割額が九万円未満の人、④災害、事故、病気等による負担で生活が③と同程度と認められる人、⑤その他区長が適当と認めた人であった。
この内職あっせん事業はその後、次の変遷を遂げた。平成七年二月六日、港内職補導授産所が改築のため仮施設(南麻布二丁目)に移転し、さらに同一〇年八月一八日、高輪一丁目(旧福祉作業所)に移転した。そして、平成一二年四月一日の「授産所」への名称変更を経て、同一六年三月三一日に機能分化を図るため港授産所は廃止され、授産事業は港区シルバー人材センターに、内職補導事業は港区勤労者サービス公社にそれぞれ移管された。港授産所廃止の一〇年後の平成二六年三月三一日に内職あっせん事業はその役目を終えて廃止された。 (田口和雄)