〔第四項 一般就労支援、緊急就労支援〕

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平成一一年(一九九九)から一六年までの五年間、東京都の失業率は5%台で高い水準を示していた(図11-2-4-1)。平成一四年からの景気回復局面において、失業率は低下傾向を示し、有効求人倍率も改善が続いていたが、若年層の就職環境は二〇〇〇年代前半まで厳しい状況であった。他方で、景気が回復してきたなかで、とりわけ中小企業における雇用不足感が高まってもいた。こうしたもとで、平成一八年から港区は、ハローワーク品川などと連携して、中小企業の人材確保、若年者等の就労支援を目的として、就職面接会や就職応援セミナーなどを実施する一般就労支援事業を開始することとなった。
その後、長期の回復を続けていた日本経済は平成一九年に入って成長が鈍化し、翌年秋以降の世界的な金融危機に伴って、大幅な景気後退に見舞われることとなった。失業率は再び5%を超え、有効求人倍率も一倍を割る状況となった。期間雇用従業員や派遣労働者などを対象とした雇用調整が広く行われ、新卒者の就職環境も大幅に悪化したなかで、港区は平成二〇年に、ハローワーク品川と協力して、緊急就労支援事業を始めた。派遣打ち切りや内定取り消し等に関する労働相談会、就職面接会、就職セミナーなどを開催するとともに、緊急雇用対策として、臨時職員の雇用、また若者の就業体験(既卒者向けインターンシップ)事業対象者について、内定を取り消された、または派遣契約を打ち切られた区民に拡充することなどが行われた。これらの緊急就労支援事業は平成二六年度まで実施されたのち、一般就労支援事業に統合された。近年の一般就労支援の実施状況は表11-2-4-1のようになっている。                (土屋直樹)

図11-2-4-1 東京都の完全失業率と有効求人倍率

「くらしと統計」(東京都総務局統計部)各年版から作成

表11-2-4-1 一般就労支援の実施状況

「港区の産業・地域振興 事業概要」令和2年度版から作成