【奨励金制度】　港区では、仕事と子育て両立支援事業を改め、平成二七年度から仕事と家庭の両立支援事業を開始した。この制度は、仕事と子育ての両立支援事業が対象としていた仕事と子育ての両立に加えて、仕事と介護の両立、そして男性の子育て・介護への参加促進を支援するものである。対象は、区内に本社（個人の場合は主な事業所）を置く中小企業事業主であり、かつ雇用保険適用事業所である。この事業の支援策とは、①中小企業子育て支援奨励金、②中小企業配偶者出産休暇制度奨励金、③中小企業介護支援奨励金、④中小企業男性の子育て支援奨励金、⑤中小企業男性の介護支援奨励金の五つの奨励金の交付である。①と③は男女を対象とした制度であり、②と④と⑤は男性を対象としたものである（表11－3－2－2）。
事業の実績を見ると、奨励金は毎年交付されている。なかでも子育て支援奨励金が最も多い（表11－3－2－3）。

表11-3-2-2　仕事と家庭の両立支援事業奨励金の概要

「仕事と家庭の両立支援事業のご案内」（港区総務部人権・男女平等参画担当、2022）から作成

表11-3-2-3　仕事と家庭の両立支援事業の実績

「仕事と子育て両立支援事業交付実績表」（港区総務部人権・男女平等参画担当提供資料）から作成

【港区ワーク・ライフ・バランス推進企業認定事業】　港区では、平成二二年度から、仕事と家庭の両立支援や男女がともに働きやすい職場を実現するために、ワーク・ライフ・バランスに取り組んでいる中小企業を「港区ワーク・ライフ・バランス推進企業」として認定し、その取組を支援している。対象企業は、港区内中小企業のうち、「中小企業基本法」第二条第一項に該当する企業で、常時使用する労働者数が三〇〇人以下の企業である。この事業では、①子育て支援分野（仕事と子育ての両立支援に積極的に取り組んでいる）、②地域活動支援分野（従業員が地域活動等に参加しやすい環境づくりに積極的に取り組んでいる）、③介護支援分野（仕事と介護の両立支援に積極的に取り組んでいる）、④働きやすい職場環境づくり分野（長時間労働の削減等、働きやすい職場づくりを積極的に行っている）の四分野が設定されている。さらに、認定基準には、各分野共通項目と各分野独自項目がある（表11－3－2－4）。
港区ワーク・ライフ・バランス推進企業認定事業の推移を見ていくと、推進企業数は増加傾向にある（表11－3－2－5）。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（前浦穂高）

表11-3-2-4　港区ワーク・ライフ・バランス推進企業の認定基準

「ワーク・ライフ・バランス推進企業認定事業〈申請要領〉」（港区総務部人権・男女平等参画担当、2021）から作成

表11-3-2-5　ワーク・ライフ・バランス推進企業の推移

「港区の平和・人権・男女平等参画　事業概要」令和2年度版から作成