〔第二項 保健所の区への移管〕

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新保健所法の下、活動をしてきた港区内の三つの保健所は東京都の所管であったが、その後、区への移管が決定される。昭和五〇年四月一日のことであった。以後、港区芝保健所、同麻布保健所、同赤坂保健所としての活動となった(「広報みなと」昭和五二年六月一一日号)。
一方、既に区では本庁に保健衛生課が設置され、保健衛生事業の企画・調整、保健衛生の広報、伝染病・結核・性病等の予防、母子衛生・栄養改善・成人病等の保健指導、食品衛生、環境衛生、休日診療、医師会等の連絡などに取り組んでいたが、これに加えて保健所の業務も区が所管することとなり、図12-2-2-1に見える機構において出発したのであった。

図12-2-2-1 保健衛生部・保健所の組織図(昭和50年)

「東京都港区公報」216号(昭和50年4月10日)から作成

表12-2-2-1 保健所の事務分掌(昭和51年)

「事業概要」(港区保健衛生部・芝保健所・麻布保健所・赤坂保健所)昭和51年版および「東京都港区公報」216号(昭和50年4月10日)から作成


庁舎に関しては、東京都芝保健所の新庁舎として三田一丁目に移転したのが昭和二九年のことであったが、同五〇年以降も同地に所在し、同五三年、新庁舎を改築した。
区では、区民の健康を守る第一線の行政機関としての保健所の機能の充実を図るべく庁舎建設においては区民の保健衛生の向上の実現に向け、以下の七つの視点を重要視した。
①乳幼児の集団検診などの時に危険を防止するため、一階待合室などのスペースを広くとる。
②エレベーターや便所等は、身体に障害がある人たちが利用できるような設備・構造とする。
③歯科衛生事業を充実する。そのための相談室を設置する。
④成人病、精神衛生等の各種相談に十分対応できるよう相談室を設置する。
⑤食品衛生などの検査が増えていることから、検査施設を拡充する。
⑥保健衛生思想の普及、衛生教育を充実するための講習会場を設置する。
⑦休日診療を実施するための施設を設置する。
芝保健所の改築以降、昭和六〇年には港区赤坂保健所が南青山一丁目、翌年には港区麻布保健所が六本木五丁目に庁舎を改築した。